« コンドームのお話(8)若い人に知ってほしいこと。 | トップページ | 研修会(1)重症心疾患の胎児診断 »

コンドームのお話(9)コンドームと低用量ピル

 今日は朝から診療。終わってすぐに会合に行き、その後、喫茶でアイス・ティー一杯で話し合いをしていて、帰宅したら日にちが変わっていました。ここの所、なかなかブログを書く時間が取れなくて、すっかり不規則になってしまっています。ごめんなさい。

 さて、長々と続けて来たコンドームのお話は、これで終わりとします。最終回に当たって、まとめとして、やはり「確実な避妊」というものを考えておきたいと思います。

 コンドームは単独では、避妊としては不確実です。これだけでは避妊率は一年間で85%と言われています。だから、確実にしたいなら、何かと併用をということになります。コンドームを使いながら膣外射精をする、とか。女性が避妊リング、IUDを入れておいて、それに加えて、コンドームを使うとか。女性が基礎体温をつけて、コンドームと併用をする、とか。

 基礎体温を測る女性は結構いるのですが、それでも、避妊への応用となるととらえ方を間違っています。基礎体温の避妊法は、確実に体温が上がった、すなわち排卵がもうすんだことが確認されて、初めて性交をしてもいいというものです。これとコンドームを組み合わせるのなら、高温になって初めてコンドームを使って性交をする、という物なのです。でも、なんだか、基礎体温が低温のうちはコンドームを使って、高温になるとコンドームもなしで性交をする、と、こんな間違った近い方をする人が多いのです。これは、基礎体温とコンドームの併用ではなく、私はかってに基礎体温とコンドームのずぼら法と呼んでいます。コンドームの避妊は、あくまでも「毎回かかさず、性交の最初から最後まで」なのですから。

 実際これは大変なことです。ここまでしてセックスをしたいか、と言いたくなってしまいます。私は、これからはやはり世界的に言われているように、「避妊は確実なピルで、性感染症の予防はコンドームで」というのを日本でもひろめるべきだと思っています。

 低用量ピルは、ちゃんと飲んでさえいれば、避妊は確実に出来ます。この意味で、女性に取っては、多いに福音であるといえるでしょう。妊娠しても産めない状況にある女性に取って、月経が一日でも遅れると、それは恐怖です。もしもこのまま月経が来なかったら、というつらさはおそらく男性にはわからない物でしょう。そして、それがもし現実の物になったなら、産婦人科に行く、内診台で診察を受ける、そして手術台に上がる、というこれは、気が遠くなるほど、本当につらい物になってしまいます。

 そんな思いをする女性が少しでも少なくなるためには、確実な避妊ができる低用量ピルが、もっと広まって欲しい、切実にそう思います。でも、たとえば子宮内膜症で毎月の月経がとてもつらい人に、低用量ピルで楽になるから、内膜症の進行も抑えることが出来るから、とお話しても、なかなかそうしようとなりません。

 ピルに対しての拒否感は、日本独特の物です。これは、やはり子どもを望まない人はセックスをしてはならない、という風潮がまだまだ強いからでしょう。まるで、こどもを作る目的の性だけが良くって、そうでない性は悪いこと、と。カップルの二人が、性を楽しみ合いながら共に生きるという、この大切なことが、大切に考えられていません。このことがもっと正面から肯定されないかぎり、性を人間関係として捉える性教育もみとめられないのでしょう。

 ピルできちんと避妊をした上で、性感染症の予防のためにコンドームも確実に使う、という、こんな当たり前のことが、いつか当たり前の事として実行される時が来ますように。

 これで、コンドームについてはおしまいです。皆様からの沢山のコメント、ありがとうございました。

|

« コンドームのお話(8)若い人に知ってほしいこと。 | トップページ | 研修会(1)重症心疾患の胎児診断 »

コメント

ご多忙の中、長期に渡る連載お疲れ様でした。

避妊に関しては正しい知識と同時に、男女双方が共に考えていかなければならないものであることを、あらためて感じました。

女性は避妊を男性任せにせず主体的にピルを服用し、男性もそれに甘んじる事なくコンドームを着用する、それが成熟した大人の関係というものなのでしょう

末筆ながら、いろいろコメントを書き込んでしまい、先生の御手を煩わせてしまい申し訳ございませんでした。

投稿: めかちゅーん | 2008年2月 3日 (日) 08時37分

ピルについてです。
私は生理痛が酷くて(卵巣が腫れている)ピルを服用していました。
高校生の頃から鎮痛薬をもらいに産婦人科に通っていましたが、あまり効果が無く、学校で生理になると顔が真っ青、手足がしびれ、痛みで意識がもうろうになり立つ事ができなくて何度か母がタクシーで迎えに来てくれました。
運の悪いことにいつも試験の日や前日に重なり、とても辛かった。
社会人になっても痛みは酷いままで、やはり職場の人に自宅へ送ってもらったことがあります。
10代の頃から産婦人科でピルを勧められていましたが、どうしても抵抗がありました。
21歳頃に試しに服用してみました。すると、量は少ない、痛みも軽い、予定に合わせて生理を調整できる、避妊も確実。すごく快適な生活になりました。
その後、生理休暇は一度も取ることが無かったです。
結婚が決まってピルの服用を止めたらまたあの懐かしい痛みが・・・。しかし数ヵ月後には問題なく妊娠もできました。
当時は低用量解禁前で中用量だったため、吐き気などの副作用がありました。出産したら生理痛は軽くなると聞いていたけど、痛みはずっとありました。
娘を出産した時は、「この子もあの痛みを味わうんだ」と真っ先に思ったほどです。
数年前に接客業のパートをはじめた時、立ち仕事がしんどくてまたピルを服用しましたが低用量には副作用が全くありませんでした。(個人差はあると思いますが)
私もピルの良さがもっと認識されたらいいのにと思います。ただ、輸入で安くネット購入でき、半年に1回の血液検査をしていない人も最近では増えているようです。長くなりすみません。

投稿: ebiko | 2008年2月 3日 (日) 14時16分

めかちゅーんさま
いつも、コメントありがとうこざいました。お返事がいつもいつも遅くなってすみませんでした。まだこれからも時々は現場であったこと、感じた事などを書きますので、どうぞ、よろしくお願いします。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年2月 4日 (月) 22時48分

ebikoさま
貴重な体験を書いていただいてありがとうございました。この様なナマのお声が多くのかたに届くことを願っています。ネットでのピルについては、やはり癌検診などの定期的なチェックをしないままになるのが、なんとも気がかりです。どうぞ、これからもよろしくお願いします。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年2月 4日 (月) 22時51分

ピルに関しては、日本の産婦人科医自体にアレルギーを持っている人が多いというのも日本であまり普及しない原因になっているのではないでしょうか。副作用をえんえんと語る医師やピルを服用することを罪悪とでも考えているかのような医師に出会ったことがあります。

私自身はヨーロッパで働いていた時に、日本と違って生理痛でしんどそうな女性が余りいないことを不思議がっていると、ほとんどの人がピルを飲んでいたこと、不正出血で婦人科にかかった時に30歳になるまでピルを飲んだことがないと言うと、先生にあきれられたことからピルを服用し始め、今はアメリカで働いていますが、今もずっと服用しています。ピルとビタミンB6であんなに重かった生理のしんどさはほとんどなくなりました。

ただし、アメリカの医師も余りピルには肯定的ではないようです。副作用をこれでもかと説明されますし、ピルを服用していることにより受けなければいけない検診もたくさんあります。ヨーロッパの経験がなければピルの服用をしなかったかもしれません。ピル服用で乳がんのリスクなどが多少上がるようですから、検診の充実など整備がいりますが、日本でもっと気軽にピルが使えるようになれば、日本の女性はもっと元気に強くなれると思います。日本女性は他の国の女性に比べて余りにも弱い!!です。

投稿: ruru | 2008年2月 6日 (水) 13時11分

ruruさま
アメリカからのコメントでしょうか。ありがとうございます。日本で低用量ピルが許可されたのが、99年の9月。欧米に遅れること40年です。今、日本の産婦人科医は多いに変わったと思います。ピルのガイドラインも大幅に簡略化され、ほとんど検査は必須でなくなりました。OC啓発セミナーは、どこも超満員です。他の科のドクターでは、ただまだ無理解な人がある様ですが、産婦人科医は変わったと思います。それまでに本当に植え付けられたホルモンは害という意識を女性自身が持っていることが一番のネックだと私は思います。まあ、あせることなく、根気強く、啓発の活動を続けて参ります。ありがとうございました。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年2月 6日 (水) 23時53分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/205567/17935947

この記事へのトラックバック一覧です: コンドームのお話(9)コンドームと低用量ピル:

« コンドームのお話(8)若い人に知ってほしいこと。 | トップページ | 研修会(1)重症心疾患の胎児診断 »