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新生児仮死と心肺蘇生ガイドライン

昨日、久松産婦人科から帰って、夜7時からは医師会館で研修があった。(本当によく研修があって、勉強をしているのですよ。というか、医師たるもの、常に研修をして医療の進歩について行かなければならない、そんな義務を背負っているのだけれど)広島市民病院総合母子医療センター新生児科主任部長林谷道子先生の講演を聞いた。要するに、NICU未熟児センターの先生のお話だ。タイトルは、新生児仮死と「新生児心肺蘇生ガイドライン」

 市民病院に未熟児センターが出来て30年。そのごく初期から、ずっとここで働き続けたベテランのドクターだ。私の中学の2年後輩。私が昔、娘を早産してしまった時の主治医でもあった。

 赤ちゃんは生まれて数分以内に、母親の胎盤、へその緒を通して酸素や栄養をもらって生きていたのが、自力で肺で呼吸をし、自力の心臓で血液を全身に送るように劇的に変化する。肺胞の中は水で満たされていたのが、一気に空気に満たされるようになる。しぼんでいた肺の血管は、一気に血液に満たされる。

 この様な劇的な変化が起こるのであるが、生まれて来た赤ちゃんの10%、10人に一人は、この変化に対しての手助けを要し、1%、100人に一人は積極的な治療を要す。しかも、初めの5分の対応がその子の一生を左右する。

 ガイドラインでは、赤ちゃんが生まれて30秒ごとの手順が決められている。30秒ごとに赤ちゃんの状態の評価をしながら、次々と対応をしていく。まず初めは1.赤ちゃんは満期でうまれているか2.羊水はきれいか3.呼吸またはてい泣4.筋緊張は良好か。そして、それに応じての具体的な対応。30秒後にまだ評価が良くない所があれば、気道の確保、呼吸の援助、心マッサージなど対応をする。

 脳のエネルギー源は、酸素とグルコース。気道を確保して人工呼吸、心マッサージをちゃんとすれば、赤ちゃんの脳を助けることができる。もしも、脳に障害を負ってしまったなら、今は、脳の低温療法などの積極的な治療をする。

 などなど一連の講義は、明快、分かりやすくて、感動すら覚えた。林谷ドクター達の尽力も有って、今、広島県の周産期(お産の前後)と早期新生児の死亡は、全国で一番低い。もちろん、すべての産科医がこれらのガイドラインをしっかりマスターして、応急処置をちゃんとしながら、NICUのドクターに繋ぐこと。または、その前にリスクがある産婦さんについては、母体搬送などで、NICUがある病院でお産をすることが出来るように、との判断をも求められる。

 それにしても、彼女の頑張り!一つのことを、それこそ夜昼ない厳しい環境の中で、ここまで仕事を続けて、一体どれだけの赤ちゃんを助けて来たことか。(私の娘も含めて。)あらためて彼女に感謝の拍手を送った次第だ。

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コメント

娘の出産を思い出しながら
読ませていただきました。

臨月の検診で羊水減少を告げられ、
その翌日には緊急帝王切開に。
手術当日にはお腹の中で一時仮死だったと
後から聞かされました。

娘に知的遅れがあることを知ったときは、
もっと早く帝王切開と決めてくれていたら
娘の障害は残らなかったのかもしれないのにと
医療への不信を抱いていたこともありましたが、
今はただ、娘が命あって生まれてくれたことに
心から感謝しています。

娘もまた医学の進歩がなければ、
この世に生まれてこられなかった命です。
出産に携わるたくさんの方達の努力によって
生かされた命でもあるのだなぁと感じています。

そして、娘のおかげでより豊かな人生を
歩むことができているのかもしれません。

先日は、先生のおかげで
とても素敵なご縁をいただくことができました。
本当にありがとうございました。

娘のブログや自分のブログの中でも
ご報告をさせていただこうと思っていますが
取り急ぎお礼まで。
(コメントとして、ふさわしくない内容でしたら
 申し訳ありません。)


投稿: セラピスト☆マリリン | 2008年2月 8日 (金) 17時58分

コメント失礼します。

>肺胞の中は水で満たされていたのが、一気に空気に満たされるようになる。しぼんで>いた肺の血管は、一気に血液に満たされる。

「人間の赤ちゃんなんだから、陸で動けて当たり前」と思っていたのですが、本当に本当に、劇的な変化なわけですね。
抜粋させていただいた記述を読んで、命の不思議さというか…強さというか…感動を覚えました。

あと、広島県の周産期と早期新生児の死亡が、全国で一番低いということを、初めて知りました!
とても誉れなことですね!
携わり、がんばって頂いている人たちに、感謝のかぎりです!
ステキなことを教えてもらい、ありがとうございました(^^)

投稿: なー | 2008年2月 8日 (金) 22時54分

人間ってすごいですね…感動しました。

泣かなかったらどうしようと不安でしたが、息子は全身が出る前に産声をきかせてくれてほっとしたのを思い出しました。
元気に生まれてくれたこと、感謝です。

投稿: なぎ | 2008年2月 9日 (土) 01時14分

妻の知人は妊娠中入退院を繰り返し、かなり早い時期の早産だったのですが、今はすくすくと育っているみたいです。医療の進歩と赤ちゃんの生命力に驚きです。

今では、検診をしっかり受ければ事前に色んな対処ができるのに、ニュースなどで駆け込み出産の話を聞くと、とても残念に思いますね。

投稿: yukiiro | 2008年2月 9日 (土) 07時24分

セラピスト☆マリリンさま
そうだったのですね。大変なお産をなさいましたね。大変だったけれど、でも、あんなに素晴らしい詩書くお嬢様に授かって、やっぱりシアワセな事なのだと思います。素敵な歌が生まれますように。ブログ、読ませていただきますね。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年2月10日 (日) 22時54分

なーさま
素敵なブログ、絵本をみさせていただきました。これからもおじゃましますね。コメント、ありがとうございます。私もやはり命の誕生ってすごいことだとあらためて感動しました。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年2月10日 (日) 22時57分

なぎさま
コメントありがとうございます。お返事がつい遅くなってすみません。いつまでたっても、母親は子どもを産んだ時のことを、感動を持って胸に抱きつづけているのだと思います。そんな思いをさせてくれた子ども達に感謝ですね。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年2月10日 (日) 23時04分

yukiiroさま
いつも、適切なコメントをありがとうございます。その通りで。でも、、、このごろ、とみに経済的理由で健診を受けられない人が増えて来て胸が痛みます。これからもよろしくお願いします。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年2月10日 (日) 23時06分

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