研修会(1)重症心疾患の胎児診断
今日の午後は広島県産婦人科研修会に参加して、勉強した。「重症新疾患の胎児スクリーニング」と、「更年期・閉経記における子宮内膜症の管理法について」の二第。前者は神奈川県立こども医療センターの新生児科の先生の、後者は、東京医科歯科大学の教授の講演であった。
なんか、最近では久々のとても勉強になるお話を聞いて、心地良い疲れがある。一題目のお話は、妊婦健診での超音波による胎児診断を、その心臓もちゃんと診なければならないということだった。
今、私たちは、妊娠の初期から中期、末期、さまざまなチェックをしている。超音波による胎児診断は、苦痛もなく簡単にできるのだが、漫然と診ているようでも、いろいろと決められた通りにやっている。妊娠のうんと初期には、子宮に筋腫などの異常はないか、胎嚢という袋の大きさはどうか、胎児の心拍はあるか、やがて胎児の頭臀長(座高)や頭の直径。そして、さらに胎児の首の後ろの厚さをも診る(ここが厚いと、ダウン症や胎児の心臓の異常があることがあると言われている)。さらに週数が進むと、胎盤の位置や、胎児の頭の直径と、足の太ももの骨の長さ、そしてお腹を輪切りにしてしの面積を出し、それらからの胎児の推定体重を出す。また、3Dの立体画像で、顔は正常だろうか、とか、そんなのも診る。
それらに加えて、心臓もちゃんとチェックをして、もし異常が認められれば、専門医に紹介すること。事前に診断がついていれば、その対応もちゃんと出来る。しかし、お母さんの子宮の中にいる胎児の心臓を外から超音波で詳しく見るのは、なかなか大変で、技術と経験を要する。
ため息が出そうだ。一人ひとりにかかる時間もうんと長時間になるだろう。そして、何より気が重いのは、そこまでの技術を獲得するまでに見逃す事だってあるという事だ。ますます責任が重くなって、しんどいことだと思う。でも、医学や医療の進歩にちゃんと着いて行くのも私たちの義務だと思うからこそ、こうして研修にもでて、何とかしようと思うのだけれど。
少なくとも、妊娠の20週と30週くらいの二回はしっかり時間を取って心臓を診なさい、と。それもたんに心肥大がないかどうか、なんてなま優しい物でなく、胎児の左心室と右心室の大きさ、心臓の軸はどうなっているか、大動脈と肺動脈の位置の確認。さらには、弁の動きや血流まで。うーん、こんな講習を受けると、自分には出来るだろうか、と、いやになって、さらに医者を辞めたくなる人だってでて来るだろう、と思うくらい、高度であった。
ところで、一通りのお話がすんだ後の質問の中に、「20週では遅いのでは。もっと早くに診断すべきではないのか」というのがあった。その意味が分かるだけに、私は講師の返事を(内心)かたずをのんで待った。そしたら、先生は、20週、またはもう少したって、24週くらいがいいと思うと言われたのだ。それより早くに分かったなら、それはほとんど中絶に終わるでしょうから、と。今の日本で、中絶が許されているのは、21週まで。さまざまな難しい問題もあるけれど、と、断られていたが、困難な病気を持って生まれて来た命が、何とか頑張って生きられるようにと、治療に立ち向かっている先生のお話は説得力があった。
ひどい月経痛や腹痛などを伴う子宮内膜症についてのお話は、また明日書きます。
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コメント
土曜日の検診ではお世話になりました。
一度、主人と「生まれても長く生きられないとお腹にいるときに分かったらどうするか。」という話をしたことがあります。
中絶と出産のどちらを選んだとしても、間違いではないのだろうという結果になりました。
私ならきっと生んで抱っこしたいと思うでしょう。
私のエゴかもしれませんが、顔が見たいし、抱っこしたいし、やってあげたいことがたくさんあります。
今回の赤ちゃんも、「足が長い」と言っていただき、主人ととっても楽しみにしています。
母に「また足が長いらしいよ。」と報告したら大爆笑されましたけど。
投稿: いおママ | 2008年2月 4日 (月) 12時10分
いおママさま
コメント、ありがとうございます。土曜日、ひさしぶりにお会い出来て私もうれしかったです。健診では、しっかり診させていただきますね。元気な赤ちゃんに次々と恵まれて、とてもおしあわせですね。どうぞ、お大事になさってくださいね。告示後、はじめての演説をする時にかけつけて下さったこと、いつも思い出します。本当にありがとうございました。河野美代子
投稿: こうのみよこ | 2008年2月 4日 (月) 23時00分