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コンドームのお話(6)大学事情

 憮然としている校長先生の前で、私は養護教諭の先生に言いました。私は、何をするにも分相応ということが大切と思っています。その生徒が、自分のお小遣いでコンドームを買える範囲内で、行動を取ればいい。コンドームが買えないというのは、まだそれだけの実力がないということ。お金も力の一つだから。力もないのに、それを越えて行動を取ってはいけないと。回数を減らせばよろしい。コンドームもないのに、それ以上したいというのは、贅沢というもの。将来、自分で稼げるようになって、買うお金も十分にあるようになったら、その時には、したいだけすればいい。それまでは、ガマンするなり、自分でするなり、彼女に迷惑を掛けない範囲で、どうすればいいのか、自分で解決しなさい。そういう物だと思うのだけれど、と。

 要するに、まだ高校生で、力もないのに、やりたいだけやるというのは、許せん!そう言ったのです。

 まだHIVの予防のためにコンドームを使うことをいかに広めるか、というのが課題だったころ、実は今でもこれは課題で在り続けているのですが(ソープ嬢にコンドームを使う講習をやった話は以前しました)A大学の売店にコンドームを置いて欲しい、と交渉しました。そしてそれが実現したのです。もちろん、その大学では、エイズ予防の取り組みが盛んになされていました。

 そんな時、B大学に講演に行きました。実は、そこでは、学生の妊娠が相次ぎ、中絶がとても多かったのです。私のクリニックにも何人も来ました。が、その大学の近くの産婦人科の先生が、大学に申し入れをしたと。あまりに中絶が続くので、ちゃんと教育をしなさい、河野ドクターを呼んで講演会でもしたらどうですか、と。で、私の講演が実現しました。行って見てびっくり。あまりに人里離れた寂しい所に、まるで学生達が隔離された生活を送っているかの様でした。コンドームなんて、一体、何キロ離れた所に行かなければならないのか、というような所です。なるほど、これでは子ができるわ。まあ、寂しさのあまり、自殺というよりはいいかも知れないけれど。本当にそう思いました。

 で、私は、そこの養護の先生に、大学の売店にコンドームを置く事は出来ませんか。と言いました。そしたら、目を丸くして、そんな、大学にコンドームなんて。と、絶句されたのです。「でも、A大学では売店においてありますよ。」と言ったら、また目を丸くされました。とても実現は不可能、という様子でした。

 その話には後日談があります。コンドームを置いていたA大学。そこが、売店での扱いを止めたのだそうです。それは、「万引き」のせいなのです。あまりに万引きが多くて、結局止めた、と。では、自動販売機を置いて欲しい、と要求したのですが、でも、もうその時には大学の周辺に薬局やコンビニも出来て、買いやすい状況は出来ている、と。だから、内部で扱わなくともいいでしょう、と、そうなったそうです。

 もちろん、買いやすければ、どこででもいいのです。大学の中であろうと、外であろうと。で、B大学は気になりますが、その後は分かりません。

 こんなことを書くと、また、河野は若者をそそのかしている、と言われそうです。でも、何度でも言います。若者は、「コンドームがあるからセックスをしよう」ではなく、なくともやってしまう。なくとも大丈夫だろうと、甘い考えで行動してしまうのです。

 明日は、コンドームが破れた、はずれていた、という時の緊急避妊とピルの話をします。

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コメント

コンドームを万引きしてまで、セックスをしたいって言うことでしょうか・・・
分相応という言葉を、この万引きした大学生にも言いたいですね。
それとも買うのが恥ずかしいんでしょうか?
悪いことをしている訳では無いのに。
万引きの方が犯罪ですがね。


投稿: りんご | 2008年1月30日 (水) 11時37分

りんごさま
そうですよね。たぶん、ばつが悪いのでしょう。それとも、ほかの物も万引きされるのでしょうかね。このごろ、本やさんでもコンビニでも万引き対策が大変だそうですから。人が一生懸命つくり、生活のために売ろうとしている物を盗んではいけないということが教えられていないのでしょうかね。こうのみよこ

投稿: | 2008年1月31日 (木) 15時53分

 突然に場所をお借りしてすみません。広島大学教育学研究科社会認識教育学講座の教員です。学科の新入生向けに講演をお願いしたいのですが、どちらのほうに御連絡差し上げればよろしいでしょうか? クリニックのほうにお電話かお手紙を差し上げようと考えておりますが、とりあえず気軽に書き込んでみました。どうか宜しくお願いします。

投稿: 畑 浩人 | 2008年2月 6日 (水) 01時20分

 飛び込みの追伸で恐縮です。社会科教員養成コース新入生向け講演の打診なのですが、とりあえず日時が決まっておりまして、4月19日(土)の1時から4時までの間の1時間半ほど(講演1時間、質疑応答30分)です。場所はグリーンアリーナの小会議室(64席)で、参加者は教員約10名に新入生が23名前後(まだ受験前ですね)に、上級生の希望者数名といった感じです。前半か後半には市教委在職の学科OBの80年代回顧談と教職関連の講話を入れる予定です。前半と後半は別個の企画です。
 河野先生には、「1 社会科教員としての御尊父様の想い出(影響)、2 学生時代の過ごし方(当時のキャンパスや学生運動の様子など)、3 性教育普及の困難さ、4 エイズ問題など啓発活動・社会運動の重要性、5 政治家としての未来」といった構成でお話し頂ければ、公民分野の具体的知識が不足しがちな学生にとってすこぶる有意義だと思います。
 勝手に先走ってすみません。当日は学会や他のお仕事で御無理かもしれませんね。
 現段階は小職が個人的に接触を試みているだけなのですが、もし、お受け頂けるようでしたら、講座内の承認を経た上で、新入生対象のオリエンテーションという公式行事ですので、教育学部の長から正式に依頼が河野先生宛に行くことになります。
 長くなりましたが、以上のような次第です。
 それでは用件のみで失礼します。

投稿: 畑 浩人(広大講師) | 2008年2月 6日 (水) 02時02分

畑浩人さま
お返事遅くなってすみません。とてもとても魅力的なお話をありがとうございます。私、教師になろうとするものはみんな性について学ぶべきだと思っています。社会科というのも、人口問題から、倫理などとても関係がある科です。それに、ご提案のテーマ(なぜ私の父が高校の社会科の教師であったとご存じなのでしょうか)も魅力的でうれしかったのですが。デモ、ザンネンながら、土曜日は、私に取っては一番忙しい診療日なのです。これは、患者さんが第一の医師にとって変えることの出来ない義務であります。診療をしなければなりません。土曜日は、夕方の6時まで受け付けて、目一杯診療をします。診療を休んで講演をすることは出来ないのです。大変申し訳ないのですが、お断りせざるを得ません。私は、木曜日か、日曜、祭日か、または平日でしたら夜しか講演出来ないのです。どうぞ、ご理解下さいませ。お話、うれしかったです。なお、講演については、クリニック082-242-1505で対応しております。ありがとうございました。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2008年2月 6日 (水) 23時36分

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