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性感染症(5)ボランティアということ

 昨日診療をしていと、クリニックに小林まさみさんが訪ねて来てくださった。彼女はずっと以前からサンフランシスコでエイズボランティアをしている。今回のエイズ学会に参加するためにはるばるやって来たと。彼女とは、先述の、17年前にメモリアルキルトの展示会をした頃からの付き合いである。

 メモリアルキルト展から、広島エイズダイアルを立ち上げるに当たって、まさみさんには、ボランティアとは何たるか、その基本を教えていただいた。まだHIVに感染すると、生きるのがとても難しかったころ。サンフランシスコでは、患者さんも立ち上がり、かつ、様々なボランティア活動も展開されていた。

 例えば、会社に勤めている男性が、お昼時間になると、上司に「ちょっと行って来ます。」と伝え、ホットドックなんぞをかじりながら、車を運転して、エイズの闘病中の患者さんにランチを届けて、また会社に戻るとか。また、エイズのこどもや患者さんにマッサージをしてあげるボランティアとか。実際、アステールプラザの和室を借りて、マッサージのトレーニングもしてもらった。弱っている患者さんに素手で優しくマッサージをするのは、患者さんにとってとても気持がよく、ほっとリラックス出来ること、それだけでなく、ふれ合うことで患者さんに連帯を示し、精神的にも励ましになると教えられた。

 様々な人が、それぞれの事情の範囲で、出来ることをする。サンフランシスコでは、何にもしない人は、能力のない人か、病気の人だと見られますよ、とも教えられた。ボランティアは、全く当たり前に自然にされる事なのだ、と。

 また、エイズウィルスのワクチンの研究などの最新情報を教えても下さった。まだインターネットなどない時代である。アメリカから、フランシスという最新の研究をしているドクターを連れて来て、広島でも講演をしてもらったこともある。このように、日本とサンフランシスコを行ったりきたりしながら、幅広いボランティアを展開している人だ。

 あちらこちらで、よく出会っていたが、今回は何年ぶりの出逢いだろうか。本当にうれしかった。今回の学会では、まだまだ様々な人に出会うと思う。タイのエイズのボランティアをしているグループ、アフリカのエイズ患者の支援をしているグループ(アフリカの人の手作りのビーズのレッドリボンを買った)。みんなが、それぞれの出来る範囲でボランティア活動を展開している。その人達と出逢い、新たな時刺激を受ける。これもまた、学会の楽しさの一つでもある。

 写真は、石田吉明さんのメモリアルキルト。石田さんは、輸入血液製剤で感染し、HIV訴訟の原告として頑張っていたし、社会に患者の立場からの厳しい告発を行っていた。が、HIV訴訟の和解成立の一年前に、志半ばにして、亡くなられた。彼の「そして僕らはエイズになった」は、重い著書である。また、彼の写真集には、美しい草花など、やさしい写真が収載されている。生前、何回もお会いしたが、スケールの大きい、根はとても優しい人だったと思う。キルトには、石田さんが来ていた衣服、カメラのNikonのストラップなどと共に、彼の言葉がアップリケしてある。

「エイズは、自分の体の状況が今どの辺りまで進んだかが見える病気なのだ。ちょうど、それは砂時計の砂がサラサラと落ちて行くのを、じっと眺めている情景に似ている。人は未来への期待と希望なしには生きられないのだと思う。それにしても、残り時間を意識した瞬間から、命が輝いて見えるのはなぜだろう。石田吉明」

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コメント

今日、実物を拝見しました。
学会だから周りの人はそれなりの人ばかりだったので、私は場違いのようだから、さらっと見て帰りました。
どこかの講座でも見て帰ろうかなとも思ったのですが、入口に紺のスーツの人が立ち並んでいると入りにくいですね。(一般人が入れるかどうかは判りませんが)

投稿: やんじ | 2007年11月29日 (木) 17時30分

やんじさま
せっかく来られたのに、お会いできなくて、すみませんでした。きっとどこかの講座を覗いていたのでしょう。入り口に立っているのは、あれは関所です。胸にタグをぶら下げている人しか入れないようになっているのです。市民公開講座は、そうではなく、だけでも入れるようになっています。来てくださってありがとうございました。こんな事は、選挙の時にはほとんど話しませんでしたが、私のながく取り組んで来た課題でもあります。また、お会い出来ますことを。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2007年12月 2日 (日) 19時17分

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