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性感染症(2)性風俗について

 広島エイズダイアルを作った1990年から今日まで、ずっと電話相談もしています。性風俗で感染したのではないかという不安で、電話して来る人が初めから今まで、ずっと続いています。ただ、その風俗の内容はだいぶ変わっています。

 初めの頃はソープランドがほとんどでした。それで、感染したのではないか、と。一方、私は診療の場で風俗で働く女性達を診ます。当時、広島のソープは、ほとんどコンドームを使っていませんでした。客が「ここの店はコンドームを使うか」と聞いて「使う」と言ったら客が逃げるのだと。「遊ぶ時くらいナマでやらせろ」と言われると、彼女たちも嘆いていました。だって、働く側でも、こわいのですから。

 風俗の中味がわからなくて、風俗の人に来てもらって、研修をしたこともあります。その時に聞いたのですが。「今、世の中不景気で(バブルが丁度はじける頃でした)客が減って大変なのだと。それも、領収書をくれという客が減ったのだと。」「へえー!ソープで領収書を出すんですか!?」「いくらなんでも、店の名前では出せないから、店を経営している会社の名前で出すのだ」と。それが、バブルがはじけて、企業の接待費、交際費が削減されて、それで客が減ったのだと。客の8割は、中年の、家庭のある男性なのだと。「ああ、そうだったのか!」と思いました。独身男性の為にあるのかと思っていたら、そうではなかったのですね。

 今だったら、さしずめ、「ゴルフ接待」ですか。でも、当時、日本のトップと言われた「大蔵官僚のノーパンしゃぶしゃぶ接待疑惑」が報道されもしていました。そんな大人社会なのですね。若者のことをなんだかんだと言っても、肝心の大人がこうだったのですから。

 で、ソープでもコンドームを使うように、これが第一義だということになりました。で、いろいろと紆余曲折はあったのですが、結局、ソープランド組合に働きかけて、一斉に「よーいどん!」でコンドームを使うようになったのです。同時に、広島市と広島エイズダイアルと共同で、ソープで働く人のための講座を開きました。私が講師で、ソープ嬢や経営者にHIV等の性感染症の話、そして、コンドームを使うことの大切さ、特に、客にいやがられた時に客に分からないようにコンドームをつける訓練、練習を、とそんなこともやりました。

 で、一斉にソープでコンドームを使うようになりました。もし、それを着けるな、と言う客がいたら、「では、帰ってちょうだい」と言えるようになったのです。同時に、ソープ嬢から一斉に性感染症が消えました。

 でも、今、時が経ってまたコンドームを着けないことがあるようになったとソープ嬢に聞き、心配しています。それから、風俗の形態が変わって、もちろんソープもあるけれど、「ヘルス」が主体となりました。「ヘルス」、本番をしないのが立て前です。でも、あくまでも立て前で、実際はそうとは限りません。それに、立て前がそうだから、コンドームを用意することが出来ません。今、ヘルスは性感染症の巣窟になっています。クラミジアや淋病は、口の中にも感染しますから。女性の性感染症の検査をする時に、口の中の検査も一緒にすることが多くなりました。

 もちろん、風俗がHIVの温床になっているという根拠はありません。でも、淋病やクラミジアは本当に増えています。それと、性器ヘルペス、コンジローム、これらはたしかに増えています。

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コメント

はじめまして。先生の性教育論、以前から読ませてもらっています。今の性感染症。ありきたりの解説でなくて、先生の実践に基づいて書かれているので、とても面白いです。これからも期待します。いろいろな情報を発信してください。私たちは、ほとんど知らなかった事ばかりです。それにしても、ソープへの働きかけ、すっごく面白かったです。

投稿: y.yoshi. | 2007年11月27日 (火) 10時24分

y.yoshiさま
コメント、ありがとうございます。性感染症のシリーズを初めて、反応がないので、がっかりして、心配していました。だから、y.yoshiさまのコメントで、とても元気づけられました。私、ただ、家庭の医学書にあるようなことを書いてもしょうがない、と。私しか書けないものをかかなければ、と思って書いています。どうか、これからも覗いてくださいませ。ありがとうございました。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2007年11月27日 (火) 18時32分

 先日、とある方の講演で性感染症の話を少し聞き、初めて知ることが多く驚いていたところだったので、本当に私にとってはタイムリーな話題です。
 性感染症…どこかで自分には縁がないものと思って過ごしているのでしょうね。
 風俗のことも…勉強になります(^-^;)
 続きも楽しみにしています。

投稿: うさこ | 2007年11月27日 (火) 23時42分

うさこさま
続いてのコメント、ありがとうございます。性感染症は、決して若い人たちだけの問題ではなく、私の所でのデーターでも、30代、40代の方達の感染が多くなって来ました。時には、70代の方も。今や、すっかり茶の間に持ち込まれていると思います。もっとみんながこの問題については、感心をもって欲しいと思います。また、よろしくお願いします。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2007年11月29日 (木) 00時15分

 こんにちは、たまたま先生のダイアリーを拝見した者です。先生方の取り組み、読ませていただいて感銘を受けました。性や性行為感染症の問題については、どうしても建前だけが先行してしまっているような気がしますが、それではやはり何の解決にもならないのかもしれませんね。実は恥ずかしながら、僕も昔は広島の風俗にお世話になったことがありました。その際にお相手してくださった女性が、「私たちがいくら検査していても、普通の女性はなかなか婦人科の敷居が高いようで、検査に行く人が少ないようで心配よ、あなたも気をつけてね」と忠告してくださいました。感染症は特異な人だけの病気だという意識が私にもありましたが、みんなが考えなければいけない問題ですね。

kobanさま
じつは、この記事がもう古くて、コメントのお返事が入りません。もしかして、もう一度これを読んでくださることを期待して、ここに書かせてもらいます。コメント、ありがとうございます。たまたま、この記事をみられたのですね。何かの検索に引っかかったのでしょうか。何にしても、読んでいただいてありがとうございます。性感染症については、あまりに皆さんしらなさすぎると思います。知らないから、感染していても気づかないままで大変なことになるひともあります。どうぞ、これからも時々は覗いてくださいませ。これがお目に届きますように。河野美代子

投稿: koban | 2008年3月30日 (日) 15時50分

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