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癌治療について思うこと

 今日、あるご夫婦と話しをした。女性が卵巣癌に罹って治療中である。すでに手術もすんで化学療法中であると。ついてはそのことについての相談であった。いろいろと資料を持って来て戴いた。それを見ると、今罹っている病院のドクターから実に丁寧に説明がされている。手術も今されている抗癌剤の治療も何の問題もない。今の日本で、もっとも優れた治療を受けている。

 で、なにが問題なの?と問うた。実は、私には分かっていた。このような時、廻りが様々なことを言うのが常である。ほかの病院に行って見たら、とか、日常生活でもそんなことをしてはいけないのではないの?とか、もっとも多いのは、「この薬をのんだら」とか「この漢方が癌に効くよ」とか、「このサプリを」とか、「このワクチンがいいよ」とか、実に沢山の物を勧められて、時には、とても高価なキノコなどを飲み続けたりする。果たして、今日の方達もそれで悩んでの事であった。

 もちろん、それらを教えてくれるのは、親切心からである。ごく一部、詐欺まがいの物を売って、罪に問われたりしている業者はいるが。患者本人やその家族、絶望的な思いをしている人は、何かにすがりたいし、何でも頼りたい。たとえ高価な物でも命が助かるのであれば、無理をしてでも購入し使いたい。

 そして、それによって心の安定が保たれ、前向きに生きられるのなら、それでもいい。でもそれは、あくまでも治療を妨げない範囲で、と思う。

 今、せっかく治療を受けている人に、惑わせるようなことを言ってはいけない。卵巣癌は、とても医療が進んだ。私が医師になった頃には卵巣癌はとても厳しい癌で、当時半年しか生きることが出来なかった人でも、今、抗癌剤による治療を受けることで、ずっと生き続けることが出来るようになった。

 確かに、抗癌剤の治療は副作用があってつらいかも知れない。それでも、生きるためなのだから、何とか頑張って治療を受けて欲しい。治療の副作用も、いろいろな薬を添加することによって、吐き気などは随分押さえられるようになった。髪が抜けても、また必ず生えて来るから、その間ウイグなどで対応して欲しい。頑張って治療を受けてほしい。

 してはいけないことは何にもないから。仕事に出てもいいし、スポーツでも、旅行でも。好きなことをして生き生き生きるのが一番よ。その方が免疫も上がるでしょう。あれをしてはいけない、これをしてはいけない、ただ、静かにじっと寝ておいた方が体のためにいいということは絶対にないから。もっとも、抗癌剤の副作用で白血球が下がっている時には風邪を引いたりしないように、人混みには出ない方がいいでしょう。それは、主治医からすでに伝えられていた。気を付けることはその程度よ。

 そんな話をした。実は、30年前、私の夫が深刻な胃ガンになった時、私が一番しんどかったのは、廻りからあれこれ言われることであった。病院で一番の治療をしてもらっているのだから、それを妨げたくなかった。まだ当時は、本人に癌であることを伝えてはいけない、と、厳重に禁じられていた時だったから、一人で耐えなければならず、それはとてもしんどかった。一番の相談相手である夫に相談できない。そんな時に廻りからさまざまなことを言われると、もう、つらくて。

 治療中の方がいた時には、どうぞ、廻りの人たちはそっとしておいてあげて欲しい。そして、その人や家族から相談を持ちかけられた時だけ、一緒に考えてあげる。そのために、「何かあったら言ってね。何でも協力するからね。」とだけ言っておいてあげる。大きなお世話をすると、それだけでも当事者はとてもつらくなることがあるのだということを知っておいて欲しい、そう思う。

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コメント

情報が多すぎて、不必要な情報も氾濫していますからね。
TVでも大袈裟すぎる番組も多いです。
また、厚生労働省や製薬会社の今回の薬害も、
不安を煽るようなものですね。

以前やっていたお昼の健康番組を見ながら、
何を食べても危険。何を食べても体にいい。
そんな印象を受けていました。

お医者さんといかに信頼関係が結ばれるかじゃないかと思います。
そうすれば外野の声は気にならなくなる思います。

ただ、お医者さんと信頼関係をもつのも簡単じゃないとも思います。
だから、周りの声を信頼できる親族や友人の声に耳を傾けてしまうと思います。

信頼できるお医者さんを見つけることが、大切だと思います。
信頼したのなら、安心して治療を任せられるからです。

私は、経験からそう思います。

投稿: やんじ | 2007年11月 2日 (金) 21時39分

私もそう思います。夫が入院していた時、会社の人達、親戚、私達を取り巻く皆が色んな事言ってきて、私は辛くて死にそうでした。
そっとして欲しい時もある。助けて欲しい時だけ手を差し伸べて欲しい。そう心から願っていました。
河野先生も大変な想いをされたから、そんな人の気持ちが分かる方なんですね。

私のお友達も、今若くして乳がんと戦っています。どうぞ元気になりますように・・・そっと心から願っています。

投稿: 優♪ | 2007年11月 2日 (金) 21時40分

河野先生、初めてコメントさせて頂きます。私は36歳で、昨年職場の人間ドックを初めて受診し、子宮ガン検診で、子宮頸部異形上皮Ⅲbで円錐切除手術を大学病院で受けました。診断を受けた際、それはショックで、いろいろネットで病状について調べ、その際先生のロリエの相談室を拝見し、随分安心したものです。
そして術後一週間入院し、同部屋の方の過酷な抗がん剤治療を目にし、本当に人生観が変りました。
そしてその治療をされてる方々から、早く検査してよかったねと何度も言われ、涙が出る思いでした。
私は短期間の1週間でしたが、皆さんはもう何ヶ月も入院されていて、早く帰りたい、家事がしたいと言われていました。
それまでは人間ドックなんてまだ若いから大丈夫と思いつつ、どこか悪かったら怖いなぁなんて思っていましたが、早く見つければ、それに越したことはないんだと思いが変りました。今年も人間ドックをしましたし、術後の検査で3ヶ月に一度は婦人科を受診しています。
なにより3人のこどもがいますから、まだまだ元気で頑張らないといけません!
先生、とてもお忙しい様子ですが、頑張ってくださいね。
選挙のときも陰ながら応援していました。ブログもとても楽しみにしています。

投稿: hiro | 2007年11月 2日 (金) 22時08分

 今日早朝の…健康診断と女達の会…
まず…諸々数値OKおめでとうございます。
1週間ダイエットの成果?でしょうか?(笑)
胃の内視鏡…私は結構平気です。
以前、病院で「ストレスがないんでしょうか?ピンクの綺麗な胃です!」と…
言わしめたことがありますが…結構平気でした。
だってその時は…腎臓結石だったのに…胃の内視鏡を…と…
違います!って言ってるのに…胃の内視鏡を強行…されたんです。
結果はやはり…申告通り腎臓結石でした!っまったく!でしたが…

岩国の件…
次男が横須賀に住んでいます…
横須賀も…昨年でしたか…事件がありました。
我が家は男の子ですが…自分も周りの友達も気をつけるように言っております。
同じ学校の女の子のご両親もセキュリティーのきちんとした
マンションを選んでいらっしゃるようです。
今後…被害者の女性の人権がふみにじられることがないように要望することと同時に
このような事件が起きないように…話し合うことも必要だと思います。
 
ガン治療について…
私も10年前に脳内出血を罹病しております。
その時に…手をかざしたり…赤い下着を頂いたり…サプリメントをご紹介頂いたりと…
色々な治療方法や過ごし方をご伝授頂きました。
嬉しかったことも沢山ありますが…迷った事も事実です。
先生がおっしゃる通り…そっと見守りながらサポートしていくことが…
嬉しいことのように思います。
長男もただいま大学5年生です。
ポリクリで廻る科毎に色々な経験をしているようですが…
母の罹病を忘れることなく生きていってくれると思っております。
長いコメントで…ごめんなさい!

投稿: れいまんま | 2007年11月 2日 (金) 22時09分

 癌治療はハイスピードで進歩していると言われます。治療中の患者にとっておっしゃる様にそっとしておくのが一番かも知れません。医師や病院が適切な治療を施している場合のことでしょう・・・。
 最近、私が経験したケースを通じて”平和大通り”に14日から5回「癌と闘う~余命告知の疑問~」を書きました。是非、ご覧頂いて意見を聞かせてください。超多忙でエネルギッシュな毎日に敬服してす。

投稿: グランパ | 2007年11月 3日 (土) 06時30分

やんじさま
お母さんの看病がどんなに大変だったか、思いをはせています。そうですね、信頼できるドクターを見つけることは大切なのですが、その信頼ということの基準が何なのか、ということもありますね。口はとても上手だけれど治療はさっぱりという人もいるし。私は、何よりも治療をちゃんとしてくれるドクターを一番に考えたいのです。それに加えて、患者や家族の疑問などにきちんと向き合ってくれること。この一番がいいかげんなままに、二番だけが優れていては危険ですしね。でも、それが一番目立ちやすい、わかりやすいから。世間の風評と、医療界内部から見ていることと、異なることもしばしばあるのです。その意味で患者も勉強しないといけない、そんな時代だと思うのです。
河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2007年11月 3日 (土) 11時33分

優♪さま
こんにちは。ご無沙汰しています。コメント、ありがとうございます。優さん、どうぞ肩の力を抜いて。仕事も家事もすべて完璧にしようと思ったら、疲れ切ってしまいます。私も、大変な仕事をしながら子育てをしたので、しんどさは良く分かります。でも、人間、できることには限界があるのだから。優先順位でしょうね。一番は食べること。これはちゃんとする。洗濯はしないと着る物がなくなってしまうから、その範囲でする。(でも、時々娘のブルーマーを朝電子レンジで乾かしたりしていましたけれど)掃除は、少々しなくとも死にはしない。それから、食事の後片付けや洗濯干しなどは、子ども達が寝てからしてました。起きている間は、家事を後回しにしてでも、とにかく子どもたちと一緒に過ごす。もし、とても正社員がしんどければ、またパートに戻してもらったらいい、意地悪そうな上司には、それくらいの気持でいた方がいいですね。出来ないことは出来ない!それくらいの開き直りが必要と思います。ブログ、続けて読ませていただきます。どうぞ、疲れすぎないようにね。オフ会でお会いしたお嬢さん達にもお会いしたいです。また、力を抜いたところで、広島ブログにも復帰して欲しいですね。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2007年11月 3日 (土) 12時02分

hiroさま
コメント、ありがとうございます。本当に良かったですね。子宮癌検診はちゃんと検診を受けていれば、決して子宮を失うようなことにはなりません。だから、多くの方に検診を受けて欲しいのです。ああ、良かった!と思うことがとても良くあります。だから、私もちゃんと検診を受けていますよ。私だけ癌にならない、ということはありませんので。ただ、私の場合、ドックの検診は、ドクターがいれかわり、私の後輩達のよく知っている男性達なのですよ。こればっかりは、、。で、検診の日には特別に友人の女性のドクターの所に行かせてもらっています。どうぞ、廻りの方達にも検診の大切さを語ってあげてくださいね。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2007年11月 3日 (土) 12時09分

れいまんまさま
コメント、ありがとうございます。岩国の件、少し気になります。世の人達は、被害に遭った女性にスキや非があったからだ、と捉え勝ちです。でも、性犯罪は、相手が計画的に行う物で、夜起こるとは限りません。室内で起こるとも限りません。セキュリティーがしっかりしている所に住んでいる人は被害に遭わないとも限りません。(経済的にセキュリティーがしっかりしている所に住めない人もいっぱいいます。その人達は被害に遭っても仕方がないとは言えません)ひたすら、米兵の教育、(でも戦争で人を殺せという教育を受けている人たちに同時にレイプは犯罪である、女性の人権を大切にせよ、ということを教えるのはかなり無理があるようです)敢えて言えば、米兵の犯罪をなくそうとしたら、日本から基地をなくすこと、これが究極ですよね。でも、日本の男性達のレイプ事件も、とても沢山あります。デイトレイプ、顔見知りの人からの暴力が一番多いのです。その意味で、私は、犯罪をなくそうとすることに、女性の責任を言ってはいけない、それを言うことが被害に遭った女性を傷つけることになるのだ、と思っているのです。それと、日常の教育の中に、被害に遭わない教育をとりこんで、力を付けるということは全く矛盾しません。その教育をちゃんとしないで置いて、むしろその教育をさせないでおいて、被害に遭った女性に対して非難をするようなことを言った知事が私は許せません。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2007年11月 3日 (土) 12時28分

グランパさま
ご無沙汰しております。いつもブログは読ませていただいています。14日からのシリーズ、楽しみにしています。お元気でいらっしゃいますか。お具合がお悪いのではないかと心配しています。また、お会いできればうれしいです。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2007年11月 3日 (土) 14時37分

現在、私のの親友がホジキンスB型で、治療中です。初めは、彼女は誰にも言いたくないということで、病気のことは、家族内だけに話していました。その後、私にも告白をしてくれ、「現在は放射線治療のため、髪の毛が抜けたので、帽子を被っているの」などとメールがきたりしていました。私は、心配でしたが、彼女がメールをしてくるまで、あれこれとは尋ねることもなく、ひたすら待ち、体にいいドレッシング等を送っていたら、「会いたい」というメールが来ました。彼女は、そのままの自分で、私と話がしたいということでした。その頃は、彼女の状態も少しよくなっていました。今、第二次の放射線治療中で会えなくなっていますが、徐々によくなっているようで、私は彼女との再開を楽しみにしています。

投稿: eastwaterY | 2007年11月 4日 (日) 18時09分

eastwaterYさま
お忙しい中、コメントありがとうございます。大切なお友達のご病気、どうぞ、今のままで支えてあげてくださいませ。ますますお忙しそうで、お会いできないのがザンネンですね。女性会議でお会い出来なかったのが悔やまれます。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2007年11月 6日 (火) 00時24分

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