分科会で学んだ男の悩と女の悩
日本女性会議2007ひろしま、大変多くの方達が全国から集まって始まりました。私は「女性のこころとからだ」の三時間の分科会を無事終えました。下村満子さんは、元朝日新聞ニユーヨーク特派員。朝日ジャーナルの初の女性編集長。性差医療を日本に初めて紹介した方です。私の話はともかく、下村さんの話でとても面白かったこと少しご紹介します。
下村さんが監訳、マリアン・レガト著の「イブに生まれて」同じく「すぐ忘れる男決して忘れない女」の本の内容の紹介をしながらのお話でした。女がいつまでも「あのとき、あなたはこんなことを言った」なんて突然言って、男がすっかり忘れていてびっくりしたり、ということがあるでしょう。なんて言われると、多くの出席者がうなづきながらけらけらと笑いました。私も、しっかり覚えがあることで。でも、それは、決して男がいいかげんで忘れてしまっているのではなくて、それは、男と女の悩の違いなのだそうです。それから、女は一度に多くのことを同時に平行してすることができるのだそうです。それは、赤ちゃんにおっぱいを飲ませながら夕飯を作ったり、という必要に迫られて、そうなって行ったらしいです。でも、男は、なかなか二つのことを同時にするのが難しいのです。
だから、男に話しをする時に、彼が何かをしている時に話しをしてもまずちゃんと聞いてもらえません。ほら、彼が新聞を読んでいる時に話しをしても、うんうんと何だか生返事で、ちゃんと聞いてくれなくって不愉快な思いをした事って、あるでしょう。あれは、男が不誠実なのではなくって、そうしか出来ないのだそうですよ。みんな思い当たるらしくって、もちろん私もそうで、妙に納得出来ました。
性差医療とは、男と女の体の様々な違いを分かった上で、ちゃんとそれぞれに応じた医療を行うこと。例えば胃からの食物の通過は男の方が女よりも倍も早い。鬱に罹る人は圧倒的に女の方が多い。タバコの害は、女のほうが3倍高い。それから、顔の皮膚は、男の方が厚くってしわになりにくい。女は閉経後一気にしわが増える。更年期は男も女も同じようにある。男の脳は女の脳より割合にして一割大きい。しかし、その脳の機能は女のほうが小さくても、きりりと働く。
等々いろいろと違いがあるということが分かって来たと。でも、だから、女はこうあるべきである、とか、ジェンダーに差を求めようとするのは間違っているのでしょう。
なんか、決して忘れない女、というのが本当に納得しました。傷つくことを言われたのをしっかり覚えていて、思い返しては、同じ心の痛みも繰り返して、また傷付くのだそうですよ。何回も。
これから、その二冊の本を読みます。また面白いことが書いてあったら、紹介しますね。
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コメント
「決して忘れない」・・・。ものすごく納得できました。
決して執念深いというつもりはないんですが、
何年も前の「あのひとこと」「あのできごと」が、
突然鮮やかに甦ってきては、パニックに襲われていました。
忘れることが出来ないなら、乗り越えることで前に進もうと、
気持ちを切り替えたのですが、
それでもフラッシュバックは襲ってきます。
ある時思い切って
「私はあの時の言葉(や出来事)が今でもつらい」と相手に伝えると、
「へ~?・・・そんなこと言ったっけ?
言ったとしたら、悪かった。ごめん。」
なにぃぃっ?!
悲しみが怒りに変わった瞬間でした(笑)。
いまだに時折フラッシュバックを繰り返していますが、
心療内科を受診し、カウンセリングをすすめられ、
そんな想いの根っこの部分を整理しているところです。
そんな「女の脳」の持ち主である私ですが、
これが不思議なもので、二つのことを同時に出来ないんです。
簡単な作業でも、おしゃべりしながらなんてできないし、
極端な話、両手に荷物を持って歩いているだけで、
気持ちがものすごく散漫になり、忘れ物やミスが多くなり、
たくさん荷物を持って帰宅した時は、後から、
玄関を開けたはず鍵や、
ポケットから出したはずの携帯電話が見つからなくなる率が非常に高いです。
もともとおっちょこちょいなので、置き場所は決めているのに、
荷物に気を取られて、いつもと違う場所にぽいとおいているんですね。
よく、「どうしてまたこんなところに?」と思うようなところから発見され、
我ながら呆れています。
投稿: Hoch | 2007年10月20日 (土) 06時51分
Hochさま
そうですよね。私だって、30年以上前に夫に言われた言葉を鮮やかに覚えていますもの。一生許せない、と傷付いたことが時々よみがえります。それを抱えたまま、平穏な生活を送ることもまた出来るのですよね。もの忘れ、これ、性格的なことでは?私も同じですよ。鍵や、ものの置き場や、私のことを言われているようで、くすっとしました。徐々に傷が癒えますことを!河野美代子
投稿: こうのみよこ | 2007年10月20日 (土) 08時46分
こんばんは。このブログを読んで、私も河野さんが講師をされた分科会へ行きたかったと思いました。ジェンダーを語るときに、常に語られるのが、生得的か誕生以来の文化的・社会的影響か、ということです。
女性は脳幹が広く、男性は狭いから性差があるのだと言われていますが、私はまだそれを全面的には信じていないところもあります。
さて、せっかくお会いできるチャンスだったのに、交流会では1300人という人の間をぬって河野さんを探しましたが、分かりませんでした。バイキングだったので、十分に食事を摂ることもできませんでしたが、高山市、奈良県、香川県など広範囲の人と出会えました。しかし、河野さんにお会いできなかったのは、残念でした。
投稿: eastwaterY | 2007年10月21日 (日) 23時36分
脳の性差の話に安直に乗ると、結局は女性差別の肯定になると私は思います。
脳は人間の成長過程でいちばん遅く発達する部分なので、発達過程で、文化的・社会的な影響を多く受ける可能性が高いといいます。それに、脳の各部位の大きさや位置などの「脳の形状」が、感情的か、記憶力がいいか、などの「脳の機能」にどう関連しているかは、まだまだほとんどが未解明である、と聞きます。
未解明なのをいいことに、変な議論が百出しているのが現状です。たとえば性差ではないですが、戸塚ヨットスクールの戸塚宏は、「不登校やひきこもりは脳幹に問題がある」などと言い、「だから言葉で言っても分からない、体で覚えさせるしかない」と言っていました。
ですので現時点では、「性差は脳差」という話は、都市伝説のように扱ったほうがいいと思います。
もちろん、ですので脳の性差は社会的性差の反映である、とも言い切れません。が、少なくとも先生がおっしゃる「決して忘れない」は、社会的な性差が脳の発達に影響しているという可能性はないですか? 個人的性格を安直に脳の差に結びつける議論は、ジェンダーは脳の差が原因 → ジェンダーは生物学的性差に基づいている → ジェンダーは容認すべきもの、という風潮を助長しかねません。
架空の話ですが、こういうのは肯定できますか?
(A)
社員「なぜ女性役員は少ないんですか?」
社長「女性の役員が増えると、役員会議が混乱するんだよ。女性は感情的だからねぇ。ま、これは女性が悪いんじゃない。脳の問題だよ」
(B)
生徒「なんで女子には地図が配られないんですか?」
先生「今回の班行動では、地図を見るのは男子の担当ってなってるだろう。ほら、“地図の読めない女”って言うじゃないか。脳の機能に差があるんだよ。女子は男子についていきなさい。ほら、置いてかれるぞ」
…すいません、熱くなってしまいました。先生は「おもしろエピソード」としてお話されただけなのでしょうね。先生の普段のコメントは大いに賛成なので、あまり気にしないでください。大変失礼しました♪
投稿: さかたこうえい | 2007年10月21日 (日) 23時52分
eastwaterYさま
私もお会いした買ったのに、ザンネンでした。私は、正面の知事などがいるテーブルの真後ろにいました。速報、もらわれましたか?その交流会の写真の、黄色い服の川瀬さんの斜め後ろに写っています。私の斜め後ろが下村満子さんです。それにしても、大勢の人でしたね。また、いつかお会いしましょうね。河野美代子
投稿: こうのみよこ | 2007年10月23日 (火) 02時37分
さかたこうえいさま
ぜひ、「すぐ忘れる男決して忘れない女」をお読み下さい。私は二冊平行して読んでいて、まだ全部を読んでいる訳ではありませんが、妙に納得出来る本です。悩の違いは、単に大きさや形だけではありませんよ。血流、化学成分、代謝、それにホルモンなど多岐に渡っています。それから、医療が男をしか研究して来なかった。女を単に男の小型版としてしか捉えて来なかった。先端医療も男にしか施されて来なかった、というのも、納得出来ることです。それから、性差に配慮した医療というのは、フェミニズムとなんら反しません。(A)や(B)が肯定出来る訳ないではありませんか。何という質問をなさるのでしょう。河野美代子
投稿: こうのみよこ | 2007年10月23日 (火) 02時55分
初めまして。更年期ダイアリー図書館で読みました。元気がでました。他県なんで先生の本は3冊のみ。残念!さらばはありました^^先生は別府へ行くのは、車ですよね?遠いのに、、、途中は船?島根も車、、、先生すごい!疲れないですか?運転。これからも、頑張って下さい。お体をご自愛くださいませ
投稿: しんちゃい | 2007年10月25日 (木) 17時09分