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ペニスのサイズと包茎(2)

 前回はペニスのサイズについて書きました。思春期の悩みというのは、大人になったら、どうしてあんな事であんなに悩んだのだろうかと思えるような些細なことでも、大きく増幅されます。つまんないことでも、本人に取っては、自殺を考えるほど大きな悩みになったりするものなのです。

 今回は包茎について。これも深刻です。今、若者向けの雑誌には、美容整形外科の包茎の手術の宣伝が満載です。多くの若者が必死でアルバイトをして、高いお金を出して美容整形外科でへたな手術を受けて。包皮を切りすぎてしまうのですね。その後もペニスが発育して包皮が足りなくなって、勃起したら痛くてセックスも出来なくなってしまったという、包茎の手術の被害が思春期学会で問題になってもう10数年経ちます。今では、包茎の手術の被害者の会も作られているくらいです。ちなみに、今、Googleで「包茎 手術 被害者」で検索すると、63100もヒットしました。さまざまな痛恨の声が披露されていて、痛ましいことです。

 私の大学の後輩で、今、神戸で泌尿器科のクリニックを開業している石川英二先生が「切ってはいけません!日本人が知らない包茎の真実」(新潮社)と言う本を出版しています。本当に、よくぞ書いてくださった、と、この本をよんで、拍手をしました。

 ほとんどの包茎は手術はしなくていいのです。日頃、ペニスは皮をかぶっててもいいのです。勃起した時に亀頭という頭の部分が出てくれば。または、手を使って引っ張って亀頭が出てくれば、それでいいのです。もし、まだ出てこなくても、毎日お風呂に入った時に引っ張る。そして、洗って元に戻しておく。これを繰り返せば、段々と穴が拡がってやがて亀頭が露出する様になります。もしも、くっついたりしていて、小さな穴しかなくって、洗えないために垢がたまって、亀頭包皮炎という、ペニスの先が赤くなって痛くて、という炎症を繰り返す人、こういう人は手術をした方がいいかも知れません。

 でも、そういう人は、どうぞ、美容整形外科の宣伝のフリーダイアルなどに電話したりしないで。電話をすると、かならず、「手術が必要です。病院に来なさい」になるのだから。もしも、自分は手術が必要なのかも、と悩んだなら、そういう時には、どうぞ、泌尿器科に行って診てもらってください。そして、もしも手術が必要と言われたなら、どこで手術をうけたら良いか、そのドクターに尋ねなさい。

 私は、中高校生に話す時にはこんなことも必ず話す。以前、本で、美容整形外科のドクターが、「若い女性は二重まぶたなどのプチ整形で、良く来るようになった。でも男が来ない。どうやって若い男をこさせようか、と考えた時に、包茎の手術だ、と思い当たった」と、とくとくと話しているのを読んだことがある。ああ、そうだったのか、美容整形外科の経営のために、こんな大宣伝をしているのか、と知った。

 先述の石川先生の本には、欧米の男の子が生まれた時にすぐに包皮の手術をする、いわゆる「割礼」についても詳しく書いてあって面白かった。今、赤ちゃんの時に包皮を手術した男性が、大人になって何とか包皮を伸ばそうと、苦労している話や、これは、キリスト教で罪悪視されている、「マスターベーションをさせないために」親が手術を受けさせるのだと言う説などが紹介されている。私は、欧米の方のお産に何人も立ち会って、男の子の場合、生まれてすぐに包茎の手術をして下さい、と頼まれていた。なるほど、合理的なことだわ、これで彼らは思春期になっても悩まなくですむわ、と思っていたのだが、そうではないということ改めて知った。

 それにしても、このように、ペニス大きさや包茎のことなどは、子育ての中で、まだこどものうちに、ペニスも発育しないうちに、ちゃんと教えておいてあげるべきことなのだけれど、どうも、日本の家庭では、このあたりをちゃんと伝えていないようだ。だから、思春期になって悩んでしまうのだと思う。思春期になると親にはなかなか相談出来ない。だから、早いうちに、という事なのだけれど。

 それから、言葉の問題だけれど、今、学校現場では、セックスや性交という言葉が使えない、と以前話した。それが、今、ペニスも使えなくなったのだ。何て言う?実は、「陰茎」と言わなければならなくなった。なぜ?「医学用語」を使うようにと。ペニスって医学用語なのですが。そしたら「わざわざ英語を使う必要はない」のだそうだ。でも、学校でノートブックだとか、サッカーだとか、コンピューターだとか、いっぱい英語は使われているはずなのに。どうして、ペニスだけだめなのか。ペニスはわいせつと。私、「陰茎」、陰の茎と言う方がよほど変と思うのだけれど。

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コメント

恥ずかしながら今の学校での性教育の実態はよくわかっていないのですが、そもそも私の世代(30代)もまともな性教育は受けていないのではないでしょうか(少なくとも私は受けてません)。そういう世代が親になって、子どもに何をどう教えるか。親も勉強しないといけないですよね。ここ数回のブログを読んで、音を立てて目から鱗が落ちていっています。もっといろいろ紹介していただければうれしいです☆

投稿: R21 | 2007年9月 6日 (木) 10時29分

連日とてもためになるお話をありがとうございます。
母子家庭でしかも私がこんな状態なので何もしてやれず、末っ子長男(小6)のことをいろいろ考えていました。
住宅の事情で長男はまだ私の部屋で一緒に寝ていますが、来春就職の決まった長女が家を出るので、長男に一人部屋を与えようと子どもたちと話し合っていたところなんです。
こちらのブログをうちの子どもたちにも読ませたいなと思っています。

投稿: アクビちゃん | 2007年9月 6日 (木) 18時42分

はじめまして。一男(1歳)一女(4歳)の母です。
先日、見知らぬ男子高校生から、電話でペニスの悩みの相談を受けました。
彼は彼女に大きいと言われて悩んでいるそうです。
昔読んだ時代小説の話を思い出しながら、
「女は直径10cmの赤ちゃんの頭を通せるんだから、ペニスの大きさなんて、関係ないの」
と話したのですが、よかったのか、どうか・・
あと、マスターベーションを母親に見られたのも悩みだったみたいです。
「母親はどう思ったんだろう」というので、
「私だったら、一人前の男になったんだねと思って嬉しいよ」
と言いました。
私も男の子の母親として、彼との話はとてもためになりました。
ただ、もっと早くに先生の記事を読んでいれば、もうちょっといいアドバイスができたかなぁ・・と思いました。

投稿: りにゅ | 2007年9月 7日 (金) 00時16分

男の子を持つ友人が、先生のブログが
とても勉強になると言っていました。
私の子どもは二人とも娘ですが、
全く同感です!

女性が男性の性について知ることも
大切なことなのだなぁと改めて感じています。
40もいくつか過ぎて結婚もしているのに、
男性の性については
恥ずかしながら無知なままだなぁと…。


20年以上も教員をしてきましたが、
教師生活の終わりごろの学校現場では、
やはり逆風を感じていました。

職員朝会の管理職からの話。
「性器の名称を教えた教師が問題になってます。
 気をつけましょう。」
などというレベルの低いお話が
平気で出てきたりしてましたから…。

私自身は、院内学級での性教育を
難病の子どもたちにどう教えたらよいのか?
(教え子の何人かは、将来、後遺症として
不妊という問題にいずれは直面することも合わせて)
そんなことを悩みながら
結局は、中途半端な性教育しかできなかったことが
大きな反省として残っています。

母親としては、障害を持つ思春期の娘に
どのように性を伝えていったらよいのかと…。

お話がそれてしまって申し訳ありません。
もしいつか、機会がありましたら、
障害や病気の子ども達の性教育についても
先生のご意見を聞かせていただければ
嬉しく思っています。

次回ブログも楽しみにしていますね。
ありがとうございました!

投稿: セラピスト☆マリリン | 2007年9月 7日 (金) 00時29分

R21さま
コメントありがとうございます。これまで、大人たちはどなたも性教育なんて受けていないのです。私、勉強はしなくとも、姿勢さえ、しっかり持っていればそれで十分に家庭での性教育は出来ると思っています。そのあたりもまた、述べますね。ぜひ読んで下さいませ。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2007年9月 7日 (金) 01時52分

アクビちゃんさま
ただでさえ暑いのに、毎日のつらそうなご様子に胸を痛めています。昔、虫垂炎の手術を受けた時に、背中の麻酔の穴から脳脊髄液が漏れて、長い間、トイレに歩くのもつらい思いをしました。首の後ろもかちかちになって、頭を上げることもできず。きっと、その時のつらかったのが、アクビちゃんさまにはずっとずっと続いているのでしょう。本当に大変ですね。私、どうして上げたらいいのか、と、思います。治療、何とかならないのでしょうか。息子さん、お部屋が出来るようで、よかったですね。また、お話しましょうね。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2007年9月 7日 (金) 02時05分

りにゅさま
見知らぬ高校生によく適切なアドバイスをしてあげられましたね。私だったら、いたずら電話かと思って警戒してしまったかも知れません。お答えとしては完璧で。その高校生はラッキーだったと思いますよ。これからも、ぼつぼつ性教育について書かせていただきますので、よろしくお願いします。 河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2007年9月 7日 (金) 02時15分

セラピスト☆マリリンさま
私たち性教育の会には、障がい児、者の性教育に懸命に取り組んでいるグループもあります。基本的なことは同じなのですが、ただ、それを伝える手段として、いろいろな工夫がいりますよね。心や体に不自由を抱えているがゆえに、加害者にも被害者にもなってしまう可能性がある子達をしっかりささえなければ、と思います。かれらの実践の本も出ていますので、また、機会があればお渡ししますね。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2007年9月 7日 (金) 02時22分

アクビちゃんのブログ記事を読んで、ここへ来ました。
「脳脊髄液減少症」患者です。
生理周期に伴って症状がひどくなるため、
長い間、婦人科に通いましたが、原因もはっきりせず、治る気配もなかったため、男性医師に暴言を吐かれたりして、男性の婦人科医師が大嫌いになりました。
この病気は生理周期と連動します。
そのことは多くの脳脊髄液減少症患者を診ている私の主治医も気づいています。

脳脊髄液減少症の早期発見のためにも、婦人科の先生方にも「脳脊髄液減少症」を、もっともっと知っていただきたいと思っています。
書きづらいけれど、私も少しずつ書いて先生に伝えたいと思います。

先生の記事もすこしずつ読ませていただきます。
よろしくお願いします。

投稿: ゆめ | 2007年9月 7日 (金) 20時27分

ゆめさま
お返事遅くなりました。あくびちゃんさまのブログ、夢ちゃんさまのコメントも、書いてあることよく分かりました。私も、心して、この病気のこと、勉強いたします。月経の周期で悪化する病気もいろいとあります。また、教えてくださいませ。当事者のお声にちゃんと耳を傾けることが医師として何より大切な事だと思います。ありがとうございます。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2007年9月 9日 (日) 00時36分

はじめまして
ホームヘルパーをしているものです。
最近、担当になった70歳の男性が恥ずかしい恥ずかしいと入浴や陰部の洗浄を拒んで困ったので
どうしてと理由を聞いてみたら、包茎だから見られたくないとの事でした。このような歳になったおじいちゃんでも恥ずかしいものなのでしょうか?

投稿: あつこ | 2010年7月 4日 (日) 12時39分

ペニスの長さにかなりのコンプレックスがあります。
ある女性から、短いと言われたことがきっかけで
正直自信をなくしました。
包茎の手術というのはよく聞きますが、
ペニスそのものを大きくすることは可能でしょうか。
エクササイズとかはあまり効果ありませんでした。
男性の友人は気にするなといってくれますが、
最近の女性は厳しい人が増えているのですか。

投稿: ペニスの長さで悩み | 2010年9月22日 (水) 22時05分

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