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家庭での性教育(2.自然に覚えるということ)

 以前、国会の場で当時の小泉首相が「私たちの時代には、性教育なんてなかったですよ。それでも、ちゃんと大人になったし、自然に分かりましたけどね。」と答えました。今も大人の中には、わざわざ知らせなくても、という人たちがいます。それどころか、知らせることによってそそのかせる、刺激する、と有害論を主張する人たちも。

 自然に分かるということ。そうですね、これだけの情報社会なのだから、子どもたちもいっぱい情報を得て、多くのことを知っているかのように見えます。本人達もそう思っています。講演に行っても、「なにもこんなに座らされて、二時間も話を聞かされなくったって、もう知ってるよ。」という生徒は沢山います。

 その自然にわかる、と言うことなのですが。自然に教えられるその相手は何なのでしょうか。これは、生徒達のアンケート調査で明らかです。「あなたはどこから性の知識を得ましたか」、という質問の答えは、やはり雑誌から、友人からであり、中学生後半になると、これにAV、アダルトビデオも入って来ます。

 私たち、性教育に携わっている全国の産婦人科の医師がネットワークを作っています。年に何回か会合をし、研修や情報交換をし、お互い励まし合って、また全国に散って行きます。ある会の後の懇親会で、東北の若い勤務医のドクターが壁にスライドを映して、「みなさん、これを見てください。一枚だけですから。」といいました。「僕の小学校一年生の娘が読んでいた雑誌です。」と。それをデジカメで撮ってスライドにしたのですね。

スライドでは、雑誌を開いて、二ページを一枚に映してありました。その記事のタイトルが、「小学校卒業までにくわえたおちんちんが10本」というものだったのです。そのドクターは、もう、びっくりしたと。さすがに私たちも、うーん、と、うなりました。そして、中の一人が「おい、そのスライド、国会へ持って行け。行って、○○議員に見てもらえ。」といいました。○○議員というのは、先ほどの小泉首相に質問をした議員です。宗教団体の支援を受け、性教育に反対をしている議員です。

 このような情報を子どもたちに垂れ流しているのは、大人です。雑誌やAVには、性感染症も避妊も出て来ません。妊娠してどうしよう、と悩む女性の姿も出て来ません。それらから情報を得ているからこそ、私は、真っ正面から、まともな情報を与えて、そして「情報を選択するちから」を身につけて欲しいのです。そのような社会に溢れている情報により、すでに子どもたちはしっかりそそのかされています。その彼らに、まともな情報を与えてはいけない、とされているのが現状なのです。

 私が講演で話した後、感想文に、「自分は全然知らなかったということがよく分かった」とか、「体や性を大切にしたい」と、多くの生徒が書いてくれています。その彼らの感想文がまた私のエネルギー源になっています。(まだつづきます)

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コメント

先生の仰るとおりです。日本では性教育と言えば「寝た子を起こすな!」論ばかりが、言われますが、現実はもう既に変な形で「起きるというより、起こされて」います。これは明らかに大人の責任です。以前元広島市PTA協議会会長がある経済誌に連載で本当の「性教育」について攻撃的な内容の一文を出していました。彼は、明らかにに本当の性教育を学ばず、人がいうデマ的な性教育を自分の感覚だけで受け取り、この文章を書いたとしか思えませんでした。(多分、このことは先生もご存知ですよね。もしかして裁判はこれですか?)
今、日本は年金問題が一番注目されていますが、急がなくてはいけないのは「教育」です。本当に子どもたちのことを考えるのであれば、たとえば性教育については、まず有害な情報を出せないように法的処置をとること。「表現の自由」を盾に反対意見も出るかもしれませんが、そういっている時代ではありません。
さまざまな「教育」で、問題続出です。なぜ、教育問題を急いで変えていかなればいけないかといえば、「教育」の効果はすぐには出ないからです。時間がかかります。先日慶応大学の教育哲学者の講演を聞きました。明治時代以来、ただ「良い子」だけを育てることをし(学校の先生や両親に素直に従う)、考えることをしない人を育ててきました。また、学校教育のみを「教育」と考えたことが、現在の「考えない人」を育て、現在の問題点の多い社会を形成してきた・・・という内容の話に共感をすることが多かったです。
性教育にも「なぜ?」と思うことが大事だし、「なぜ?」と思う前に大人が有害な情報を与えないことだと思います。

投稿: eastwaterY | 2007年9月 8日 (土) 09時36分

20代の娘を持つものです。
最近、娘の知人が妊娠中絶をしました。未婚の女性です。
河野先生が命の大切さを訴え続けているにも係らず、身近にこんな話を聞くと本当に残念です。
微力ながら、娘の友人たちには機会をみつけて「自分の体を大切に!」と説いてきたつもりですが。。。。。
少子化を問題視しながら、性教育に反対されている人々は何を根拠にしているのでしょうか?
避妊を含め、生むことが出来る環境を整えるのが大きな意味での性教育(命の教育)と思います。
何だか、河野先生の受け売りですね。(笑)
これからもブログを楽しみにしております。

投稿: 風子 | 2007年9月 8日 (土) 10時39分

eastwaterYさま
はい。その通りです。私は、そのPTA協議会の会長を訴えております。その連載の中で私を名指しでとんでもない中傷をしたので、名誉毀損で訴えたものです。私達は、フリーセックスを推奨し、家族を崩壊させて、革命を狙っていると言う、ひどい中傷でした。有害な情報を与えない、と言うこと。これはなかなか難しいと思います。だれが、その判断をするか、今、まさに私たちが有害な情報をあたえている、と制限されているのです。私は、初めて出した本が「さらば、悲しみの性」で、ベストセラー、ロングセラーになりました。今も重版を重ねています。でも、これを出版をした当初、ある県の養育委員会はこの本を「悪書指定」しました。そして、この本をプリントして授業に使った県立高校の教師は、くびになったのです。そう考えると、情報の制限をすると言うことは、とても危険な側面を持ちます。制限しても、あらゆる手段を使って、彼らは無節操に流し続けるでしょう。その意味で、大人への教育も必要と思います。そして、私たちは「情報を選択するちから」を子どもたちに身に付けて欲しいと思っています。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2007年9月 9日 (日) 02時28分

風子さま
コメント、ありがとうございます。悲しい出来事には、私は日々、本当に日々、向き合っています。今日も、とてもつらい高校生に出逢いました。「自分のからだを大切に」というのが、もっと具体的に何を示しているのか、それをちゃんとメッセージすることが必要なのではないかと、そう思います。 河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2007年9月 9日 (日) 02時33分

河野さんの仰ること、全くそうですね。誰が判断するか、というときに政治家はあまりにも不勉強、学校教育においても歪んで伝えらた情報が多すぎます。しかし、アダルトビデオ、H漫画など明らかに有害と思われるものは、誰が見ても青少年にとっては有害情報です。不勉強な人でも、それくらいは分かると思うのですが・・・・。それでもダメなら、やはり子どもたちが「情報を選択する力」(メディアリテラシー力をつける)を、身につけるしかないですね。
しかもその教育は急がれますね。私は河野さんの「さらば、悲しみの性」が、なぜ有害図書なのか、分かりません。息子が高校生でオーストラリア留学をしたとき、持たせた本です。親自身もこの本を読めば有害図書ではないことは一目瞭然なのですが・・・・・親もしっかり勉強しなくては・・・・。

投稿: eastwaterY | 2007年9月 9日 (日) 12時39分

eastwaterYさま
度々のコメント、ありがとうございます。全国の自治体にある青少年育成条例では、有害図書指定を毎月のようにし、18禁を決めています。でも、そんなの、本当に気休めでしかありません。いくらでもかいくぐって子どもたちの元にそのような書籍、ビデオなどは届けられています。おとな達自身が、しっかり意識を正さないといけません。  河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2007年9月 9日 (日) 15時38分

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