海を見ながら読書です
今、宮島口のマンションに一人。片付けや掃除も一段落して、海を見ながら本を読んでいる。昨夜、やまとの湯に行く前にダイヤモンドシティーのフタバ図書に行って「反転」を買った。以前、特捜エース検事だった著者が、弁護士となり、様々なウラ社会の人たちの弁護をしたあげく、彼自身が詐欺事件の犯人として逮捕される。そのノンフィクションである。彼が逮捕された時のことを私は良く覚えている。テレビ局が検察を告発しようとしている彼を追っていて、彼にテレビカメラの前で直接インタビューをしようとしていたその直前に逮捕されたものだ。
まだ全部読んではいない。途中だけれど、はじめっから佳境に入ったように、息もつかせずに読ませるだけの迫力ある本だ。彼が手がけた仕事は、佐賀県知事汚職事件、阪大ワープロ汚職事件、文部省ノンキャリ収賄事件、撚糸工連事件などなど。
しかし、検察の仕事は「国策捜査」であると彼は言い切る。そもそも検察の捜査の本質が、権力体制と企業社会を守護するためのものだ、と。彼が手がけた捜査がいくつも上から突然に中止とされている。「平和相銀事件は政治家に行く前に終結宣言をした。福岡県の苅田町の公金横領事件は代議士に触らずにやめてしまった。谷川国税局長は金をもらっているのに起訴留保、共産党の盗聴事件も検察と警察のボス交で誰も起訴しなかった。三菱の転換社債の乱発事件も強制捜査すらできずに終わった。」そして、まさに国策捜査として彼が逮捕された石橋産業事件がある。イトマン事件の許永中氏と共に、詐欺罪で逮捕されたものだ。この詐欺事件とされるものには、誰も被害者がいない、誰も損をしていないにもかかわらず。
一人一人の検事は正義感に富んで仕事をしようとしているのかも知れないが、やはりこの社会は為政者に取っての社会とすべく動いている。政治家だって、やり過ぎだとされた者は、逮捕されていく。辻元清美さんや鈴木宗男さんなどそのたぐいだと私は思う。もっともっと悪いことをしている人はいるだろうに。経済会だって。ホリエモンなどその典型だと思う。だから、私は、足元をすくわれないように、とにかく、みじんたりとも、法律には触れないように、そのことにとことん気を配った。検察はさもありなん。でも、いまでは、三権分立であるはずの司法、裁判の分野でも、上級審に行くほど権力寄り、為政者寄りの判決となっていて、危惧を覚える。
著者の貧しい生い立ちや、結婚に至る過程、司法試験を目指して頑張る姿などは、緊張しないで読める。分厚い本なので、まだまだ読み終わるには時間がかかる。当分暇をつぶせそうだし、学ぶことも多そうだ。
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コメント
「ボス交」という言葉が通じるのは我々世代だけかもしれませんね。「カンモク」なんてのも有って…
☆河野さんの御意見は1年ほど前にNHKラジオ深夜便で聞きましたー早朝の放送でしたねー
☆私はゆとり教育の時代に、子供達に囲碁を教えていましたが、今はそういうことができる空気ではないですー教育の世界が変わりましたねー碁を教えることも止めています
☆2004年くらいから社会の空気が悪くなっていますがーお互い、頑張りましょう
☆四国ー高知から応援しています(b^-゜)
投稿: 空き三角 | 2007年8月22日 (水) 20時44分
空き三角さま
高知からですか。コメントありがとうございます。ネットというのは、空間を飛び越えるので面白いですね。本当に、この本はこの時代のものに共通のおもしろさもあります。今まだ半分を超えた所です。
今後ともよろしくお願いします。河野美代子
投稿: こうのみよこ | 2007年8月23日 (木) 03時42分