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上手に別れましょう

 今日は新大阪から特急に乗り換えて一時間の県に日帰りで講演に行って来た。行きの列車の中ではどうしても今日中に書かなければならない原稿を書いていて、講演して帰ったらさすがにちょっと疲れた。やはり年かなあ。若い頃は、午前中岐阜で、午後宝塚で、夜岡山で講演、日帰りで三つも二時間ずつの講演をしたこともあるし、どうせ行くのなら一度にと言うことで、午前午後の二カ所で、何てことは普通だったのだけれど。今は、一つだけでも疲れるようになってしまった。

 でも、今日はうれしかった。県内のすべての市町村の教育長、教育委員長、教育委員の研修会に招かれての講演で。先生方、さすがに初めは固い表情だったけれど、段々とほぐれて来て、私の話はしっかりと聞いてもらった。なぜ性教育が必要なのか。私の現場の状況、大人の性、子育てまでそれなりに幅広く話せた。きっと分かってもらえたと思う。

 ところで、帰りの列車では、出たばかりの週刊誌を買って読んだ。安倍首相の新閣僚の話を読むつもりだったら、なんと岡山の姫井さんのスキャンダルが書かれている。写真まで沢山出ていて。朝はテレビで横峰パパのスキャンダルを見たばかりだった。民主党も御難続きだけれど。でも、つくづく思う。私は恋愛はいけないとは言わないけれど、別れをちゃんとしないと。もっとも、別れた彼氏、彼女のことを週刊誌に売り込むという行為は最低だと思う。が、そうしたいと思わせるような別れ方をしてはいけない。

 また、DV、ドメスティックバイオレンス(身近な人からの暴力)の被害者の診療をすることもある。そんな時、私は「上手に別れて。一人ではとても無理だと思うから。だれかの力を借りて、殺されないように。」と言う。若い子には、一度でも彼氏に暴力をふるわれたら、上手に別れることを考えろ、と。我慢してはいけない。きっとこれからも暴力は続くから、と。

 私の患者さんで、三人の子の目の前で夫に刺し殺された女性がいる。三人の子とも、私が取り上げた。一人目が生まれてすぐから、夫の暴力があった。「あの時に上手に別れていれば」と、殺された後で彼女の父親と泣く泣く話したものだ。最近も、別れたい彼女を拳銃で撃ち殺して自分も死んだ警察官がいた。こうなる前になんとかならなかったか。

 くっつくことは簡単。別れることは大変。結婚より、離婚の方がうんとエネルギーがいる。別れ方を大切にしなければ。後で週刊誌や裁判に訴えられない様に。そして、殺されない様に。私は選挙の前から、ずっと、DV防止のバイオレットリボンを胸に付けている。

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コメント

分かれ方の極意は、相手に分かれたのは自分からだと思わせることです。
相手を被害者にしてはいけません。
そのやり方はいろいろあります。
試してみてください。

投稿: ゲン | 2007年8月31日 (金) 09時22分

なぜ、一度は愛した女性をいとも簡単に殺すことができるのでしょう。
妻や彼女を殺してしまう「もと夫、元彼」はどのようにして育てられたのでしょう。生まれながらに備わっている性格なのでしょうか。
こんな事件が新聞を賑わすたびに、先生の提唱される「いのちの教育」は、本当に大事と思います。

投稿: Masa | 2007年8月31日 (金) 13時29分

いつも見てます
胸が痛くなります 悲しくなります
家族の話題になります
ずっと読者でいたいと思います
そしてずっと応援していきたいと思っています

投稿: マリリン(安芸たかた) | 2007年8月31日 (金) 20時17分

先生こんばんは
「上手に別れましょう」心にひびきました。

 5年前に知り合って遠距離恋愛だった彼から久しぶりにメールがきました

ここ2年お互い、メール&電話もなかったので自然消滅で終わったんだと思っていました。
そしたら今年の7月中旬「元気ですかいきなりメールして迷惑だったかなこのアドレスと番号のケータイ解約するまえにメールしたくなって、こんな時間だけどしちまった」
っていう内容でした。

 私は返信するのを悩みました 男ってこんなもんだって 以前みたいに毎日電話したい 逢いたいっていう気持ちがなかったし…
一ヶ月たって返信してないっていうのが気になってたので、もう解約してるからいいやと思い
「暑いので仕事頑張ってね」ってメールしたら、まだ解約してなくて 届いてしまいました
彼からは「ありがとう どうしてたんか気になった」電話もかかってきましたが、出れませんでした
私は何も変わってないし 仕事はパートだし前みたいに貯金ないし、かなり太ったし 何も成長してないから
どーしたらいいのか
電話しようか 悩んでいます
長々メールしてごめんなさい

投稿: 泣き虫 | 2007年9月 1日 (土) 00時55分

ゲンさま
そうか!そうなのですが、でも、、人との別れというのは、策略や手段をあれこれ講じることが出来るほど、冷静ではないのでは、とも思います。ただ、誠意は必要でしょう。誠意が通用しない相手であれば、人に頼むとか、県外に逃げるとか(弁護士さんや、DVのシェルターにお願いするとか)。私は、いろいろと泥沼を見て来ているので。  河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2007年9月 2日 (日) 10時22分

masaさま
そう、悲しいですね。私は、そもそも殺さなければならないほどに追いつめられる、彼女を失っては生きていけない、それほど愛している、と言うのはまちがいで。そこにあるのは、嫉妬やうらみであったり、最終的には憎しみだろうと思います。そうでないと殺せない、と思います。でも、やはり人と人との関係づくり、これは早くから学ぶべきものと思います。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2007年9月 2日 (日) 10時26分

マリリン(安芸たかた)さま
読んで戴いてありがとうございます。何とか、楽しい話題を、とも思っているのですが、なんか深刻な話ばかりになって済みません。どうぞ、これからも読んで下さいませ。たのしいことも書く様、頑張ります。
河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2007年9月 2日 (日) 10時29分

泣き虫さま
そう、むずかしいことになっているのですね。私のモットーです。どうしたらいいか分からなくなった時には、自分の気持ちに素直になること。話をしたいなあ、と思ったら、その時に電話を。気がすすまないうちは、無理してしないほうがいいと思います。また、教えて下さいね。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2007年9月 2日 (日) 10時33分

 思い切って河野美代子先生にメールしてみてよかったです。 絶対、返事はないって思ってたのに…
「また聞かせてくださいね」って とってもとっても優しくて嬉しかったです(>_<)
ここ最近、仕事&家族&恋愛と、どれもガタガタで自分の中でどうしようどうしようと悩んでいました
生きようって ちょっと前向きになりました。
ありがとうございました。

投稿: 泣き虫 | 2007年9月 2日 (日) 13時52分

えらい人はエロい人。
女性もえらい人になる現代、別におかしいことではなく、騒ぐマスコミが私はわかりません。

男性の政治家の時はこんなに騒がないでしょうに。ジェンダーバイアスですよマスコミの。

男がやりまくりは英雄、しかし女性は淑女に。

そういう案配です。

私は、民主党はとくに性的マイノリティを候補にだしたくらいなんだから旧来家族制度を打破した行動を支持します(笑)

ただ、今の社会の仕組みだったら基本的に男が女を養う設計が残っており、いきなり自由にしたら男性が遊びまくり、妻を捨ててまずいという反論(女性に不利)がありそうですが、そこは完全同一賃金にして、気にいらなかったらいつでも離れられるような経済条件を整備すればよいと愚考します。

あ、それから、しかし、くれぐれもきちんと性教育は普及してから。

経済条件でも知識でも自分でお互い平等にえらべる条件を整えましょう。
しかし、河野先生を誹謗した筑波大学教授は、こんどは「姫井さんは二号さんを作ってえらい」といわなきゃ嘘ですよ(笑)。

投稿: さとうしゅういち | 2007年9月 2日 (日) 20時08分

一般的に見て、日本人は別れ方が下手なのではないかと想います。私は、30年前にニュージーランド(NZ)に2年住んでいましたが、彼の地の人たちは、明るい、からっとした別れ方をしています。3回結婚している人も多くいますが、別れた相手やその相手の両親が、自分のバースディにお祝いに来てくれるというのは、ざらです。1昨年28年ぶりに友人たちに会うためにNZに行きましたが、熟年カップルのほとんどは離婚し、再婚していました。だから、私たちの歓迎パーティーを催してくださったときも、離婚した人は再婚相手を連れてきてくださいました。そして、前のパートナーとのことも何のてらいもなく話してくださいました。このようなことから、日本の場合、そういう風土や意識があるのかもしれませんが、どうにもならない、憎しみ合った末に、離別を決める、別れるということになるので、相手に対して憎しみが残り「顔をも見たくない!」となってしまうのではないかと想っています。寂しく、哀しいことだと思います。

投稿: eastwaterY | 2007年9月 2日 (日) 20時55分

泣き虫さま
どんな人でも、何もかもうまく行かなくて、落ち込む時はあるものですよ。かく言う私だって。そんな時は、じっと耐えるしかありませんね。耐えていれば、そのうち、時が解決してくれる、そう思いながら淡々と生活をしましょう。時には、何か楽しいことを意識的に作れるといいですね。私の場合は、それがお風呂とマッサージというまことにささやかですが。また、お話しましょうね。  河野美代子
  

投稿: こうのみよこ | 2007年9月 2日 (日) 23時51分

さとうしゅういちさま
そうは言っても、姫井さんは、ただ愛人を作ったと言うだけでなくて、お金が絡んで訴えられたという、やはり醜態だと思います。だから、上手に別れないと、と言うことなのでしょうね。河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2007年9月 2日 (日) 23時54分

eastwaterYさま
このコメントを多くの方に読んで戴きたいですね。日本特に今は、ジェンダーバッシングが強くて、こんなのとんでもない、だとか、離婚は女が我慢しないからだ、なんで言われてしまいそうですが。また寝情報事務所どういう形いろいろと教えてくださいませ。
河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2007年9月 2日 (日) 23時58分

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