お願い
連日帰宅が真夜中で、なかなかブログを書くことも思うにまかせません。
昨日、いえ、もう一昨日になりますか、廿日市でねねさんのコンサートがありました。私は特別ゲストとして「いのち」の話をさせて戴きました。ねねさんは、もう40年近く前、「愛するってこわい」という歌を「ジュンとネネ」のコンビで歌い、大ヒットをしたそのネネさんです。時の流れの中で、彼女は素敵に年を重ねていました。本当に素敵なコンサートで、歌をききながら涙が出て困ってしまいました。
私は初め用意していた話がネネさんの話と歌を聴いて、その場でがらりと変わってしまいました。「愛するってこわい」を英語でいうと(彼女はハワイで暮らしていましたから)「I am afraid of fall in love」というのだと。その「フォールインラブ」を聞いて、一人の男の子を思い出しました。彼は、とても事情があって生まれてすぐから施設に預かってもらってそこで育っていました。ある日、アメリカ人の夫婦が「養子を迎えたい」と尋ねて来られ、彼を紹介しました。何回もご夫婦は彼を家に連れて帰って一緒に過ごしました。そして、彼をいよいよ養子に迎えたいといわれた時、彼の生まれについて、ご夫婦に話しました。そしたら、ご夫婦は、真剣な顔で「私たちはこの子にフォールインラブなのです。どんなことを聞いてもこのラブは変わりません。もう、これっきり、このことについては触れて戴かなくて結構です。」と。その頃、彼は施設の保母さんにしかられました、そして、「マミィー、ダディー」と言って泣いたそうです。普通、「おかあちゃーん」と言って泣く、その対象がなかった彼が、「マミィー」といって泣いたと言うことを聞いた時、私も思わず涙ぐみました。こんな事を導入にして話しました。
いのちの教育をせよ、と言われます。「いのちを大切に」と100回言ったって心には響かないでしょう。私は、いのちを考えるのは、まず死を考えること、そして、いのちの誕生を見ること。いのちの誕生の映画をみての感想文の紹介というような話をしました。それから、、今、巷にはこどもに向けてどんな情報が発せられているのか、ということも。そして今、いのちの教育が出来なくなってしまいました。具体的に言葉がり。中学生に性感染症を教えるのに、「性交」も「セックス」も「H」も言葉は使えません。これらの言葉を使う外部講師も呼んではいけないと。性感染症を教えるのにこれらの言葉を使わないで、どうやって?これらの言葉を使うと、性的に刺激をするから良くないのだそうです。そして、「性的接触」と言いなさい、とされています。今、若者達が「性的接触をしようよ」と言うでしょうか。まあ、こんな話をいろいろとしました。
ねねさんも、良く聞いてくださって、それはそれで楽しい会になったかなと思っています。
で、皆様にお願いがあります。今日、31日木曜日、午後11時からNHKテレビの「日本の現場」という番組を見てください。ぜひ。私の親しい友人、性教育の大切な仲間、「山田泉」さんのドキュメントです。彼女のいのちがけの「いのちの教育」を見てください。彼女はこの3月に中学校の養護教諭を退職しました。保健室の先生、もっと続けて戴きたかったのですが、乳ガンに侵された体と、教育委員会に追いつめられての退職です。教育委員会の攻撃については、番組の中でどの程度描かれるかは分かりません。なにしろ、NHKですから。でも、もっと文科省や教委が彼女のような実践を大切にしてくれたなら、彼女は退職するとなく、もっと教育の現場にいたでしょう。こんなすごい先生、本当に生徒を大切にする教師がどんどん追いつめられてしまっているという現実、それと、いのちの教育というのは、こういうものなのだということを、どうぞ見て下さいませ。

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コメント
ブログ更新ありがとうございます。
教育業界・委員会って、今の子供たちに何を教えたらいいのかわかってませんね。些細な言葉尻ばかりもっともらしく制限したりして。本当に子供のためっておもってるんでしょうか。
広島の教育委員会でも、一部のささいな力を持った人間の考え方で、捻じ曲げられようとしていますね。
今いるおかしな政治家やおかしな権力者はどうにもならないとしても、これからを生きる子供たちに正当な教えを通して、立派な大人になり、よい社会を築いてもらいたいものです。
投稿: ママ | 2007年5月31日 (木) 07時43分
山田泉先生は以前NHKテレビで「いのちの授業」と言うタイトルで放映された方でしょうか。
ネット検索すると詳しい内容が書いてありました。再放送もあるので私のブログにも載せたいと思います。ご自身の身体を使っての文字どうり「命の授業」だったと思います。いのちは生まれる命と死に行く命がありますね。どちらも大事、大切にしなくては。
NHKのURLを貼りますね。
http://www.nhk.or.jp/nippon-genba/yotei.html
投稿: 初ちゃん | 2007年5月31日 (木) 10時57分
言霊
良き言葉は幸せを運び、悪しき言葉には不幸が集ますね。
志無き言葉、気持ちのこもらない言葉、責任から逃れる言葉には、何も生まれないし、何も感じないでしょう。
人の伝える言葉に意志を込め、暖かい気持ちを込め、責任を持つならば、きっと通じるでしょうね。
でも、多くは無責任な言葉ばかりが世間に広がります。
暴行、恐喝が「いじめ」と言う、
賄賂を「裏献金」と言う、
天上の人で無いのに「天下り」と言う、
無責任言葉ですね。
そして「性的接触」???
意味がわからない。
誰にも理解できないし、心も気持ちも伝わらない言葉ですね。
無責任な言葉には、誰もなにも感じないでしょうね。
「いのちの教育」
いろいろな教育があるのでしょうね。
生きるとは、そのためには沢山の方法があり、
沢山の考え方があるでしょうね。
でも、今は
こうじゃないといけない。
これしかない。
正解はひとつだけ。
生きる方法をはひとつだけ。
それに疑問を抱くことは生きてはいけない教育なんでしょうか?
そこには消去する人生しか残らないような気がします。
今しかないじゃなく、明日があるということを無くしてはいけませんね。
明日が無くなる人だからこそ伝えれるんじゃなく、
普通に伝えることができない現実が悲しいですね。
今日は遠方まで一人で運転して大変でしたね。
こんなときに手伝えないことは悲しいです。
前に勤めていたところならば、さっさと辞めていたでしょう。
でも、今はできないです。
それは人の関わりや頑張りたいという気持ちがあるからです。
だから、わずかの時間しかお手伝いできませんが、どうしても先生には叶えてもらいたいです。
次の日曜日は、一日中お手伝いさせていただきます。
投稿: やんじ | 2007年6月 1日 (金) 00時03分
山田泉さんのドキュメントを見ました。 ブログは殆んど毎日拝見していますが、今日は夜の会合で
同僚のブロガーさんより耳打ちされ夜中に久々TVのスイッチオンです。 今の先生方の中にもこんな
にも激しく体当たりして生徒に情熱を撃ち込んでいる先生がいらっしゃったことに感動いたしました。 しかし、少し休養して体力を回復させたら、また教育の現場に絶対戻ってきてください。 その気持ちを絶やさないことが又この病魔に打ち勝つ方法でもあるのでは・・・。
投稿: せんごくのポータマン | 2007年6月 1日 (金) 00時08分
先生、先日はありがとうございました。
先生のお話を伺うと、おなかのそこから元気が湧いてきます。
この元気、今までどこに隠れてたんだ?って感じですが、
むくむくと前向きな気持が湧いてくる!!
やっぱり、先生はハートで診て下さるお医者さまですね。
さて山田泉先生の番組、残念ながら見ることが出来ませんでした。
カナシイことがあって早々に布団をひっかぶって寝てしまいましたので・・・^^;
でも初ちゃんさんが再放送のことを書いて下さっていたので、次こそはちゃんと見ます。
初ちゃんさん、ありがとうございます♪
投稿: Hoch | 2007年6月 1日 (金) 16時42分
「お願い!」と言うブログタイトルが、目に留まり
ささっ・・と目を通した後
<この方なら、番組を見てくださるだろう!>
と思える方々(30人弱)にメールで紹介しました
「河野先生の推薦なら見てみよう」とおっしゃる方も
何人かいらっしゃいました
その後、番組の登場人物の誰かを、
自分の身近な人に投影させている方
熱いエールを送信して来られる方
様々でした
河野先生の人柄や、今 進めていることなど
お忙しいでしょうが、
このブログに書き込んでいただければ、
ネットなら、ブログなら参加できる
見ることで理解を深められると言う方が、
沢山いらっしゃるんだろうなあ・・・と想います
投稿: せんごくテンペ | 2007年6月 2日 (土) 01時56分
ママさま
いつもコメントいただいているのに、お返事が遅くなってすみません。ママ様のコメントはいつも教育界をしっかり見ていて下さっていることに感心しています。どうぞ、これからも見続けていてくださいね。私は、ここに必ず風穴を開けたいと思います。
河野美代子
投稿: こうのみよこ | 2007年6月 3日 (日) 11時40分
初ちゃんさま
そうです。これまで山田泉さんの授業は度々放送されて来ました。今回の番組もそうですが、前回放送された授業はものすごかったですね。父親を肝臓癌で亡くした生徒に「お父さんは自分のいのちをあなたに繋ぐことが出来たんだ」と手を握って必死で訴える所、涙がとまりませんでした。これからの彼女の闘病を見守りたいと思います。 河野美代子
投稿: こうのみよこ | 2007年6月 3日 (日) 11時51分
やんじさま
いつも、やんじ様のコメント、楽しく読ませていただいています。蘊蓄がありますものね。お手伝いもありがとうございます。どんどん忙しくなりますので、大助かりです。感謝です。 河野美代子
投稿: こうのみよこ | 2007年6月 3日 (日) 12時04分
せんごくのギータマンさま
コメントありがとうございます。
今、このように子どもたちに真っ正面から向き合う先生は、なかなか生きにくい状況になっています。私も山田先生には、また、病気を克服して教育現場にもどって欲しいと思っています。そのためにも、彼女の闘病を何とか支えたいと思っています。 河野美代子
投稿: こうのみよこ | 2007年6月 3日 (日) 12時14分
Hochさま
今日、初めてHochさまのブログを読みました。今まで気づかずにいてごめんなさい。悲しいことがあったのですね。どうぞ、山田泉さんのルポを見てくださいね。私は、教育界から山田さんを失ったことがとても悲しいです。またお話しましょうね。 河野美代子
投稿: こうのみよこ | 2007年6月 3日 (日) 12時27分
せんごくテンペさま
山田さんの番組を広めて下さってありがとうございます。ぜひ、多くの方に見ていただきたい番組でした。彼女の本「いのちの授業をもう一度」が出ましたので、その内にご紹介しますね。なかなかブログが更新できなくて、すみません。頑張ります。 河野美代子
投稿: こうのみよこ | 2007年6月 3日 (日) 12時29分