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きょうは日曜検査の当番です。

 今日はHIVの日曜検査の当番で午後から県病院に来ている。午前中は事務所にいて、ばたばたしたが、ここはじっと座っていて、10分置きに検査結果をお伝えするだけなので、とてものんびりしている。こんな時間は私にはとてもありがたい。現に、こうして昼まから堂々と机に座ってこんなブログを書くことも出来るのだから。この前には、ゆっくりと受信トレイの後回ししていたMLなどを読んだ。jaidsというMLは、広島大学の高田先生が中心になって作っている会員が1000人近くもいるエイズ関連のものだ。そこに、懐かしい記事が出ていた。エイズのキルトの話、優れた番組を沢山作ったNHKのディレクターの池田恵理子さんの話など。

 エイズのボランティアの「広島エイズダイアル」を結成したのが1990年。エイズパニックからまだほどなく、社会には血液製剤により感染した人の大問題が明らかになり、また、他の様々なルートによって感染した人たちへの偏見も生々しい時だった。広島でもエイズで亡くなった方達を忍ぶキルト展を行い、そのスタッフが中心となってボランティアグループを作った。作りはしたが、だれが代表になるかでずいぶんと話し合った。メンバーはいろいろといても、皆さん勤務者で、ボランティア活動はするけれど表に名前が出るのはどうも、という人が多くて、結局開業して間なしの私が一番しがらみがなくて良かろうということになって引き受けた物だ。当時は会員もどんどんと増え、活動も活発だった。事務所を作り、事務局長が24時間専従し、研修会、ケアサポート、電話相談などとても忙しかった。24時間の電話相談をした時は、会場はまるで野戦病院のようだ、と差し入れに来た人に言われた。

 そして、今17年が経ち、エイズをめぐる状況もずいぶんと変わった。何より変わったのは、HIVの治療薬の開発だ。HIVに感染してもそれが早くに分かり、ちゃんと医療を受ければ限りなく生きることができる。HIVに感染していても子どもを持つことも出来るようになった。これは、エイズ、即、死と恐れられていた時からすればまさに隔世の感ありと思う。自分の命をかけてさまざまな問題提起をしてくれた赤瀬さんや石田さんや草伏さんなども、もう少し何とか生き抜いて下さっていれば、今も生きることが出来ていたのではないか、とさえ思う。このように治療が出来るようになったということがまだ知られていなくて、ただ怖い病気、そして自分も感染したのではないかという恐怖をもちながら、検査を受けることをためらう方達もいる。検査を早くに受けて、感染が分かりさえすれば、対応法はあるから、ということの情宣がもっとされなければ。

 今、私たちは県の依託を受けて、日曜検査を行っている。迅速検査だから、結果は15分で出る。昔のように1~2週間後に結果を聞きに来てくださいというのでは、待つ間がまるで拷問のようにつらいと言われていた。今は、ちょっと待っていていただければ、すぐに結果を聞いて帰ることが出来るので、気持は楽だ。迅速検査に変えてから、検査を受ける人が飛躍的に増えた。今は10分置きにぎっしりと入っている。匿名で無料で受けられる。人と会うこともない様にプライパシーも守られる。だいぶ、この日曜検査も知られて来たのだと思う。

 前に比べて、ケアサポートは少なくなった。みなさん、元気に生活出来るようになったからだ。電話相談は水、土、日にしている。検査と電話相談と、なかなか人を回すのが大変。でも、悩む人たちがいる限り、私たちの存在の意味があると思う。まだこの病気と、病気に罹った人に対する偏見が続く限り、細々とでも続けることが大切だと思っている。

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