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餅は餅屋

 咳が止まらない。もう、一体どれだけ風邪を引き続けているのだろう。一旦良くなったと思ったら、すぐに重ねて引くものだから、ずっと風邪が続いている様に思う。熱も下がって、別に胸もゼロゼロ言うわけでもないのに、ひどく咳き込む。診療中も、寝ている時も。診療中は、不謹慎だが、ハッカの飴をなめて落ち着かす。でも、寝る時は飴をなめる訳にもいかない。咳き込んでは目が覚めるので、寝不足になる。家で処方する咳止めは、結構良く効くと評判なのだが、今度ばかりは、それをいくらのんでも治まらない。

 いやーな予感がする。二年と少し前、健診でひっかかって、CTによる精密検査を受けた。そしたら、結核か、肺の転移性悪性腫瘍かという診断でしびれた。呼吸器の専門の病院に行き、つらーい気管支鏡の検査も受けた。そして、「サルコイドーシス」という変な病気だとわかり、ステロイドの大量療法を受けた。顔が副作用によるムーンフェースで、パンパンに膨れて参ってしまった。おまけに、通勤の途中、走っていて転び、肩の骨が折れた。もう、さんざんだったが、時間と共におかげですべてが解決して、快適な健康体となっていた。まさかあの時の肺の再発ではないでしょうね、といささか憂鬱になった。

 でも、どうにもこの咳はつらすぎる。で、自分で治療するのは止めて、耳鼻科を受診した。耳鼻科には、若くて、最新の知識と機械をしっかり使いこなして、的確に診断、治療してくれる信頼するドクターがいる。そして、彼の質問があまりに的確なのに、驚いた。「寝ていて、咳で目がさめますか」「はい、それがつらいのです」「痰はでますか」「いいえ、出ません、咳だけです」そして、きちんと説明してくださった。熱が治まった後のいつまでも続く咳としては、風邪のウイルスのせいで、のどの奥の後側にある咳中枢が過敏になっていること。それは、アレルギーが関係しているかもしれないこと。これらは、いわゆる咳止めが効かないこと。「そうです。いくらリンコデをのんでも、さっぱり効きませんでした。」まさに、我が意を得たり、の心境だ。

 そして、薬を4種類処方してもらった。アレルギーの薬、のどを潤す漢方、そして咳止めと気管支拡張剤。今、飲み始めて二日目。だいぶ改善して来た。

 やっぱり専門に見ていただくというのは、必要な事だと思う。妊婦さんの風邪などは、私が治療をするが、でも、こじらすと大変だから、ちょっとでも悪化の傾向があると、すぐに専門に紹介する。入院のベットを持たない開業医の私などは、産婦人科や内科や皮膚科や外科や整形外科や精神科や、本当にいろいろな所に紹介状を書く。まるで、あちこちに振り分けるのが仕事か、と思う時すらある。患者さんを自分の所で持ちすぎていると、返って迷惑をかけることになる。専門は専門に任せた方がいい。

 私の咳は、今の薬を一週間使っても治癒しなければ、もう一回同じ処方を繰り返してみると、言われた。うーん、長くかかるのかなあ、2.3日でスカッと治るなんてのは、無理なのかなあ。寝不足の頭に咳が響いて痛む。いささかくたびれた。

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コメント

体をいたわる暇もななそうなくらい忙しそうだから、小さな症状も治らずに悪化するんでしょうか。

きちんと説明してくれるお医者さんは信頼できますね。薬の説明もです。
ずいぶん前に風邪で病院に行ったとき、聴診さえせずに風邪と判断されました。二度と行きませんでしたが。
医師の資格も段階があってもいいのでは?
とか、専門ごとの国家資格であるべきでは?
なんて思います。
過疎地の医者不足を解決するには、人口密度に応じて医療ポイントが変われば、都心で一日200人観る医師も、過疎地で20人観る医師も報酬が同じなら、病院はもっと分散するように思います。
診療に追われ医学の勉強がなかなかできないより、収入はあり時間もあれば、勉強もできるでだろうに。
それと画一的な診療時間も解消してもらえれば、働いているものにはありがたいです。
素人の立場で医者の内容がわからないまま、書かせてもらいました。

お体を大切にしてくださいね。
誰よりも河野さんを必要にしている人は多いのですからね。

投稿: やんじ | 2007年4月22日 (日) 08時22分

やんじさま
いつも暖かいコメントありがとうございます。
そうですね。医学の世界には、今、どの科でも「専門医制度」が出来て、産婦人科でも専門医の資格を取ろうとすると結構厳しい審査がされ、その継続の為の研修のチェックも厳しくされます。でも、一応医者であれば専門医でなくともどの科の診療もしていいことになっていますので、内科医が産婦人科の範疇の治療をすることもあるということです。で、私がみて、間違ったお薬を出されていて、びっくりするようなこともある訳です。ということは、私がする内科や精神科の範疇の治療も専門のドクターから見れば、首をひねられることもあるかも知れません。そう、自戒をしながら診療を行っています。
 医療日、診療報酬の制度も、改革が必要と思います。いま、コストのことを考えないで、必要最低限の医療をしようとすると、個人の開業医でも、大きな病院でも、赤字になってしまいます。私も経営のことでは、何回も頭を抱えました。それに、国の福祉の切り捨ての政策により、患者さん本人の負担がどんどん増えて来ました。要チェックです。

投稿: こうのみよこ | 2007年4月22日 (日) 09時53分

いやぁな予感がはずれて何よりです。よかった!
それにしても、
私の不眠を心配して下さった先生ご自身が、
今度はしんどい想いをなさっておられるのがしみじみせつないです・・・。
お忙しい毎日であることは重々承知しおりますが、
どうかどうかお大事になさって下さい。

やんじさんもお書きになっておられましたが、
先生を必要としている人間がここにもいます。

つい先日、懇意になったばかりの知人も、

> 私がみて、間違ったお薬を出されていて、
> びっくりするようなこともある訳です。

に、まさにドンピシャのケースで
こうの先生に助けられた!と言っていました。

その彼女も私も、
先生にめぐりあったことで、
いまの子どもとの生活があると思っています。
こうのとりのこうの先生、
どうか本当にお身体をお大事になさって下さいね。

投稿: Hoch | 2007年4月22日 (日) 23時29分

Hochさん、
いつもコメントありがとう。
あいかわらず咳き込んでいるけれど、体は元気です。
ご心配をおかけしました。お友達ってどなたのことがわからないけれど、「餅は餅屋」て、皆さんに教えてあげてくださいね。これからもよろしくお願いします。         河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2007年4月23日 (月) 02時02分

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