« 男女共同参画 | トップページ | どうも大人がおかしい »

性教育の講演

 昨日は母校の広島大学の霞キャンパスで大学生に、今日は市内の中学校で3年生に講演をした。大学生は、ほとんどが医療系なので、知識としてはそれなりにあるはずなのだが、感想文を読むと「知識」としてよりも、物事の考え方、とらえ方に感動したという者が多かった。

 中学生は、今時、どの中学校でもいろいろと大変で、対応に困っている。私は、性について医療の現場で起こっている悲惨な話をいっぱいして、脅してやろう、そして少しでも子どもたちを性から遠ざけてやろう、というような、そんな話はしない。そうでなく、私は子どもたちに力をつけてあげたい。

 「性」というのは、生殖行為、たった一回だって妊娠はする。その妊娠は女のみに起こること。身ごもる性を持っている女性は自分の体に責任を、身ごもらせる性を持っている男は女の体に責任をもて、というのが性の関係を考える上での原則だと思っている。そして、避妊。

 「この中のほとんどすべての人がいつかはきっと避妊が切実になる時がくるからね。時期はみんな違うでしょう。こどもを何人か産んだ後かも知れない、前かも知れない、間を開けたい時かも。それから、今はまだ分からないけれどこの中にも一生セックスをいない人だっているかもしれない。それはそれていいのですよ。みんなしなければならないものでは決してないからね。それから、この中にもこどもが出来ない、不妊症の人がいるかも知れない。それから、中学生にもなったら、そろそろ自分でも分かる頃なのだけれど、人を好きになる時に、異性をではなく、同性を好きになる人だっているかもしれない。それはそれで個人の選択ですからね。人を好きになるときに、男性を女性を女性は男性をしか好きになってはならないものでは決してないからね。ただ、同性同士だと、こどもを作る、妊娠を目指すというのには、いろいろとハンディーがあることは確かだね。そんな人はいるかも知れないけれど、でもほとんどの人がいつかはきっと避妊が切実になる時が来るから。だから、避妊の話をしておきますよ。」といって避妊の話をする。

 それに、性の悩み、ペニスのサイズや包茎やマスターベーションなど。女性の月経痛も。さらに、今、とてもはやっていて、犯罪の温床になっている「出会い系サイト」の危険性についても。などなど盛りだくさんである。

 「性というのは、嫌らしいもの、恥ずかしいもの、隠すべきもの」ではなく、「とても大切なもの、そして素敵なもの。素敵な性が実行できる素敵な大人になって欲しい」そのためには何が必要なのだろう。と、そんな話をしている。だって、今、若者たちをあれこれ言っている大人達こそ、とても貧しい性を実行していると思うから。

 ところで、今日、中学校で講演を終え、会場を出ようとしたら、一人の男の子が手を必死で伸ばしている。駆け寄って、握手をしたら、周りの女子生徒達が、キャーと声を上げた。さらに、出口に近づいたら、4人の男の子が走って来て「ぼくも」という。で、次々と握手をした。うれしそうにしている男の生徒達を見て、私もすっかりうれしくなった。教頭先生によると、昔自分が悩んでいたのもその通りだったから。だから、男子生徒もうれしかったのでしょうということだった。すっかり中学生に力をつけてもらって、帰り道は私も元気だった。

|

« 男女共同参画 | トップページ | どうも大人がおかしい »

コメント

先生おはようございます。相変わらずお忙しそうですね。
娘も4年生になりました。身体のしくみについては興味津々なので(へそのお、しかり)弟のおちんちんはよく見てます。思い起こせば私が先生の講演を拝聴してからすでに20ウン年たっているのですが、今は子供を取り巻く状況がずいぶん変わってしまいましたよね。小3の時にもう、「友達が男の子にコクるんだって」と話ししてましたからねぇ。マンガも恋愛が絡むものが多いですし。娘にも是非先生の講演を聞かせたいです。

投稿: じんじん | 2007年4月28日 (土) 10時31分

河野先生のお話は、まさに私が求めている「性教育」です。
私には3人の息子がいて、長男は今年中学生になりました。もうそろそろ避妊についても話したいけど、親(それも母親)からそういう話を聞くのは子供の方が恥ずかしいらしい。
だからこそ、第三者でしかも専門家のお医者さんに話してもらえば、すんなりと受け入れてもらえるのにと思います。
私は親として、性器の意味や月経についても隠さず子供に説明してきました。先入観のないときに話す方が知識として受け入れやすいし、自然に覚えてくれます。今のところ、この取り組みは成功しているようです。
大人の方が先入観ありすぎですよね、性教育というものに。隠したって本能のなせることなのですから、いつかは行き着くもの。そのとき本人にとって困る結果にならないように、知識が必要なんですけどね。
これからも子供たちの未来のために無理せず頑張ってください、先生。

投稿: 文月 | 2007年4月28日 (土) 15時06分

私の友達にも中絶の経験がある子は何人かいて、以前そのうちの一人に
「自分も妊娠できるって分かって良かったわ」
と言われたことがあります。
私にはその言葉が信じられませんでした。中絶した後に言った言葉がその言葉で、腹がたちました。
でも、ずっと話をしていると、私の事がうらやましいと言われました。
「妊娠したらみんなに祝福されて出産できるから」
と。本当は彼女も生みたかったんだと。でも、どうしても生めなくて、強がって言った一言でした。
その後、彼女はその相手とは別れて今は別の人と家庭を築こうとしています。
妊娠して傷を負うのは女性ですよね?
一回の中絶で妊娠できなくなることもあるのに・・・
私も、子供が大きくなったら恥ずかしがらずに性教育をしたいと思います。

投稿: いおママ | 2007年4月28日 (土) 21時52分

 じんちゃん、コメントありがとう。
そうですね。こどもの成長て、とても早くて。もう、そう、4年生なのですね。6年生になったら、次の本、NHK出版のをプレゼントしましょう。知識は与えるほど行動は慎重になる。知らないからこそ、カジュアルに行動を取るのだと思うから。また、ねチャンスがあったら除いてくださいね。
             河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2007年4月29日 (日) 00時29分

文月さま、コメントありがとうございます。
文月様のような保護者からの励ましがとてもありがたいのです。今性教育が出来なくなっているのも、「するな」という保護者の声を積極的に上げるという方法で運動している宗教団体のせいと言ってもいいでしょう。できれば、学校に「性教育をしてほしい」と言っていただければ、それだけ学校も考えてくれるのですが。また、よろしくお願いします。
            河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2007年4月29日 (日) 03時10分

いおママさま、コメントありがとうございます。
そうですよね。どんなにつよがり、平気を装っていても、中絶というのは、とてもしんどいことなのです。皆さん、話をするうちに涙ぐんでしまいます。大人になった時につらい思いをしなくて済むように。私はすべての生徒に義務教育のうちに避妊も含めた性器養育をして欲しいと思っています。また、お話しましょうね。           河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2007年4月29日 (日) 03時15分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 性教育の講演:

« 男女共同参画 | トップページ | どうも大人がおかしい »