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40年ぶりの出逢い

 診療の休診日には出来るだけ街頭に付いて行ってマニフェストを配ったりする。先日もスーパーマーケットの前で配っていたら、一人の男性がじっと私を見ている。そして、「もしかして長谷川美代子さんではありませんか」と旧姓で問われた。はい、そうですが、と答えてみても、どなたなのか分からない。「大学の演劇研究会で一緒だった○○です。」と言われて思い出した。昔一緒に舞台に立った人だ。大学時代、椎名りんぞうの長編の芝居をやったことがある。戦後のどさくさの中で闇物資を作っているあやしげな工場で働いている母娘、私はその知的障害のある娘役。声をかけた人は、そこの工場長で私を愛人にしている人。今もその台詞の一部は覚えている。私の給料をアップして1万円にしてあげるという工場長に「ああ、うれしい。私はやっと一万円の女になったのね。」と私が言い、母親役が「一人前と1万円と間違えているんですわ、この子は。」と言う。演出は当時の渡辺さん、後に山崎哲となって劇団を主催したり劇作家兼コメンテーターでテレビで良く顔を見るようになった。懐かしい人に、40年ぶりで出会った。今、その近くで塾を経営しているという。よくぞ私と分かってもらったもので、ありがたかった。

 当時は私はまだ20才そこそこで、本当に演劇がしたかった。高校を卒業する時になんとか東京へ、と思ったが、絶対に親が広島を出さないと言った。二人の兄達は大学は県外に行ったのに。女の私はダメだと言う。広島の大学に入ってからも演劇への夢は絶ち難く、大学や地元の放送局の劇団でやってはいたが。ある日大決心をし、計画を立てた。食べるものも食べないで頑張ってお金を貯めて、東京へと脱出。ある劇団に入るつもりであった。が、山手線の中で全財産の入ったバッグを紛失し、とぼとぼと広島に戻ってしまった。「東京が私を拒否している。広島で生きろということなのね。」と。

 以来、40年。広島に根付いて生きている。このまま、私の人生は終盤を迎え、終わるのかね。そんなことを考えている時の出逢いであった。若い時を振り返るのは、歳を取った証拠だと言われても、複雑な思いにならざるを得ない、そんな出逢いであった。

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コメント

40年ぶりの出会い。ビラ配ってて良かったですね~。私も演劇をしていて青少年センター、見真講堂などで出演した事があります。初めは裏方でという約束でしたが役者が足りずに出るはめに。あの頃は月曜会、木々の会などが活躍していましたが私は職場のサークルなのでひっそりと。一度原水禁大会で朗読をしたことがあります。病気をした時偶然中学校の同級生と出会い、新たなお付き合いが始まりましたがこれからは出会いが貴重なので大事に育てたいですね。

投稿: 初ちゃん | 2007年4月 2日 (月) 12時46分

初ちゃん様
アップが遅くなってすみませんでした。初ちゃん様も演劇をされていたのですね。演劇には、やった者しか分からない魔力のような魅力があるのですね。私は、歳を取ったら(今も十分歳ですが)また昔の仲間と一緒に劇団を作ってお芝居をしましょう、と言っていたのですが、その張本人の脇田さんが亡くなってしまったので、空中分解してしまいました。もう少し時間ができたら、演劇鑑賞を楽しみたいと思っています。
いつもコメントありがとうございます。
          河野美代子

投稿: こうのみよこ | 2007年4月 4日 (水) 18時19分

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