前川直哉先生の講演「男性性と暴力」②

前川先生は、1980年から2005年の若者の性交経験率の高さ、そこから徐々に下がってくるのを若者の草食化ではなく、むしろ高いその時代が異常だったのではないかと言われます。そしてその原因の一つに、若者向けの雑誌よよる「恋愛扇動」を上げられました。


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例えば、「Hot-Dog Press」(講談社)の恋愛特集、Sex特集です。1986年10月25日号「新恋愛論恋人、必ずできるゾ!」1987年9月25日号「恋愛講座【初級編】恋人づくりはHDPにおまかせ!」2000年9月25日号「秋だから彼女が欲しい!いますぐ彼女ができる鉄則100」などなど。

 そして、恋愛扇動が激化し、性交経験率が高かった時に若者だった世代(今の40-60代)の男性と、現在の10-20代の男性では、「恋愛」や「セックス」に対しても、また「性的同意」に対しても、意識の差が大きい可能性と言われました。そして、例の松本氏や中居氏は、まさにこの時代なのだと。

 さらに、「セクハラ」。圧倒的に男性から女性に対することが多いと。その背景には、「男性ホモソーシャル社会」があると。すなわち

男性たちが"男の絆"により公的な社会を独占しようとする社会。ミソジニー(女性蔑視)、ホモフェビア(同性愛嫌悪)。女性を「ともに社会をよくする、対等な存在」とみなしていない。「男性は外で仕事、女性は内で家事・育児」という近代的な性別役割分業観→この価値観を内面化した男性にとって、女性は「ケア役割の担い手」か「恋愛・セックスの対象」とのみ見なされる。⇒ミソジニー(女性蔑視)。


 まさに、そうだと納得です。2019年の財務省高官による記者へのセクハラ、東京医科大学の受験生の女性差別などを前川先生は上げられましたが、私は、大阪検察庁トップによる女性検察官への性暴力、そして、中居氏によって明らかとなったフジテレビの社会風土などこれそのものだと思いました。

そして、これ。

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先生は、医学部はどうですか?と問われました。西医体、東医体など、医学生による体育大会の打ち上げなどがひどいと聞きましたと。ああー、と一斉に声が上がりました。ほんとうにそうだと思います。私も、ずいぶんいろいろなことを聞いたし、私自身もひどい目に遭ったなあと。

 前川先生のお話はとても興味深いものでありました。でも、私は、少し反論があります。それと合わせて、私が受けたセクハラ、でも、私は結構気が強かったし、自分で職業があったし、学生の時でも、そのうち自分で稼げる職業に就くという強みがあったので、反撃することができました。それらも含めて、次回に話しますね。

 

 

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前川直哉先生の講演「男性性と暴力」

4月13日、女性保健医療セミナーで前川直哉先生の「男性性と暴力」という講演をしていただいた、そのことについて、ずっと、どのように報告しようかと考えていました。遅ればせながら、やっと今ご報告できます。前川先生は灘高・東京大学教育学部、京都大学大学院を経て、灘中・高の教師を10年務めたのち、福島に移住、「ダイバシティふくしま」を設立、現在は福島大学の准教授。主な著書に「男の絆」「男性同性愛者の社会史」共著に「ジェンダースタディーズ」などがあります。

 日々、診療の場で、または性被害ワンストップセンターの場で、性暴力の被害者に出逢い、だからこそでもありますが、松本氏や中居氏などの事件もことさら感心がありました。これら数々性暴力の加害者となる人たちは、なぜ加害ができるのだろう、被害者の心の痛みをどう考えているのだろう、同意を得て、二人で楽しい行為をするのでなく、強引にことを起こすことで、自らの立場も危なくなってしまう、事前にそんなことは考えないのだろうか、などなど疑問がたくさんあるのです。その私が、この前川先生の講演を聞いて、ああ、そうなのかと気づかされることがいくつかありました。

 まず、性暴力には、ジェンダー差があります。大半は「男性が加害者、女性が被害者」です。その差について。

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そして、そのジェンダー規範は幼少期から作られ、内面化されると。

2種類の規範があると。すなわち、外からの規範‥「あなたは女(男)なんだから、〇〇しろ(〇〇するな)」と内側からの規範・・「〇〇が苦手な自分は、女として(男として)変なのか?」

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そして、これ。

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なるほど。そして、このグラフ。

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むしろその時代が異常だったのでは?という先生の論に、あっそうなのか、でした。そして、こうなった原因の一つに前川先生は、雑誌文化を上げられました。わたしは、まったく知らないことでした。明日に続きますね。

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「8.6ヒロシマ平和の夕べ」の会議でした。

 今日の日曜日は、「8.6ヒロシマ平和の夕べ」の実行委員会でした。被爆80年、世界の情勢を見ても、今年の会はますます重要な会となります。トランプ氏、いったいどうなるのか、単に関税のことよりも、核兵器への態度や好戦的な行動に震撼させるものがあります。世界の、特にアメリカの良心が何とか引き戻すことができるでしょうか。さらに、兵庫県の状況も背筋が寒くなるものがあります。

 私たちの会も、年々多くの方が来て下さって、その分、期待もされています。頭を抱えてみんなで検討する中で、今年も、本当にいいメニューが出来上がりました。今日は、細かいスケジュール、経理なども詰めて、ほとんど出来上がったチラシの赤入れもすみました。

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ほぼひと月後には、出来上がったチラシの発送もできるでしょう。出来上がった時点で皆様にもお知らせしますね。私自身も、とても楽しみになっています。

 その後で、都合のいい人で、食事に行きました。

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話がさらに弾みます。この仲間は、皆さん穏やかで優しくていい友人たちです。なんのためらいもなく、いろいろと話しをすることができます。ひたすら食べて飲んで話をして、いい時を過ごしました。

 この居酒屋さん、6人でこれだけ食べて飲んで、これだけでしたよ。一人2600円。生ビールもレモンサワーも165円なんて、どうして?お料理も、特にアヒージョや鶏ももの骨付きなど、美味で、いいお店でした。これからもここは重宝しましょう。

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 さて、私はこれからも8月6日に向けて、いろいろな会に出席したり本を読むなどしっかり勉強して、いい司会ができるように努めようと思います。ご期待くださいませ。

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情けないこと、腹立たしいこと。

 世の中、情けないことが満載ですね。今日、報道特集を見て、唖然としました。亡くなった人の遺族に謝罪をしたいし、供養もしたいと。そんなことで、その方の命は戻ってくるわけではありません。今さら何を言っても、あとの祭りです。願わくば、早く司直の手が入らないと、まだまだ犠牲者は増え続けるのではないかと思うのだけれど。それなのに、兵庫県警は本当に何をしているのでしょう。遺書の全文を読みました。その遺書を読んだ人の多くの「死なないで」「待って」「あなたが亡くなっても、彼らは喜ぶだけ、あなたの支持者がつらいだけ」それらを読んでいたら、涙があふれました。理不尽すぎます。

 そして、これ。毎日新聞と中国新聞です。

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 せめて、最高裁が「上告理由には当たらない」だけでなく、高裁の判決で語られた「きわめて悪質かつ卑劣で、責任は極めて重い」との意見でもつけてくれたら、と思いました。冷たいものです。でも、私は原告の彼女はよく頑張ったと賞賛をいたします。時効の壁は初めからわかっていても、それでも、裁判という困難に立ち向かっていって、相手方から事実関係があったことを認めさせました。そして、多くの方が彼女を支援しました。そのことによって、社会にこんな理不尽な犯罪があるということを知らしめました。かつ、被害者が18歳未満である時には、被害者が18歳になるまで時効は算定されないという、2023年7月からの性犯罪の法律の改定に、少なからず影響を与えたと思うのです。ちなみに、それでも、世界の中で日本の性犯罪についての時効は短か過ぎます。日本、不同意性交罪15年、不同意わいせつ罪12年。フランス30年。ドイツ20年。被害者が30歳になるまで時効は適用されず、30歳から20年経過後、すなわち被害者が50歳になるまで時効は適用されない。イギリス、性犯罪については時効がない。ノルウェー、16歳未満への性犯罪については公訴時効が撤廃された。韓国は被害者が24歳になるまで公訴時効は停止。やはり日本は性犯罪については、いまだに加害者に甘いのですね。

 ほんとうに子どもへの性犯罪ほど腹立たしいものはありません。そして、それがこの社会には信じられないほど多く犯されているのだということも、さらに実の父親がわが娘への加害者となるということも、知られないで来ました。

 だから、敗訴が確定したといっても、私は彼女の勇気をたたえたいし、感謝したいと思います。ほんとうにこれまで大変だったでしょう。お疲れ様でした。どうぞ、落ち込まないで、ゆっくり休んで下さいねと伝えたいです。

あまりに情けないことが続くので。青野さんのかわいいお花です。なお、いつも左に写っているのは、開業した当時、大家さんから頂いた鉢植えです。35年近く生き続けてくれています。

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おかやま山陽高校で話しました。

今日は、おかやま山陽高校の一年生に話に行きました。毎年入学したばかりの生徒さんたちにがつんと性教育です。私がこの学校の一年生に話し初めて、もう20年以上経ちます。

 おかやま山陽高校は、私がもっとも好きな学校の一つです。生徒たちがきらきらと輝いています。きっと自分がしたいことを思いっきりできる学校であるからでしょう。

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毎年楽しみな垂れ幕。おお、また昨年も頑張ったねえと。

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今年は、こんなのも。これで、カープから今ソフトバンクで活躍している藤井君に続いて、プロ野球の選手が三人になりました。
 
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藤井君の写真が廊下に貼ってあったので、接写。カープのユニフォームでないのが、本当に残念。でも、頑張って~!!

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調理科も製菓科も、それからら吹奏楽も・・。機械も自動車も・・。空手も公務員試験(合格率92%がすごい)も・・。

 私の話もよく聞いてくれたし・・。校長先生と話しをして、今年も気持ちよく帰ることができました。と言いたいところですが。スーパーマーケットによってお魚をいろいろと買って、いざ帰ろうとすると、ナビがとても変。ええっ?どうしてこんな遠回り?海の周りをぐるりと。まっすぐ北に登れば、すぐに高速に乗れるものをどうしたのでしょう。でも、まあ、海が見られるのはありがたい。いつかは帰れるでしょうとナビのままに走らせました。そしたら、なぞが解けました。来る途中、山陽道の反対の下り車線で火事があり、私たちの上りも車線規制がありました。なんと、その火事のために、ずっと山陽道下りが通行止めで、だから鴨方から乗らないで、福山東まで下道を行ったのでした。行くときの写真。燃えたのは、トラックみたい。

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おかげで海が見れました。向こうは四国かな?海辺が過ぎたら、のんびり畑の中。こいのぼりがたくさん。でも、すごく時間がかかりました。帰り着いたのは、7時半。

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それからすぐに買って帰った魚などの調理をして晩御飯。といっても簡単。舌ビラメのバター焼き、さわらの真子の煮つけ。にし貝は塩ゆでに。シャコはもう茹でてあります。買って帰ったちらし鮨。安いのだけれど、ちゃんと海老もレンコンも岡山らしくままかりも入っていました。いろいろと多いので、シャコとにし貝は明日のごはんに。

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ごはんがすんだらゆーぽっぼ。疲れているのだから、家のお風呂にすればいいのに・・。ゆーぽっぽから帰ると、もう0時です・・。ま、こんな風に一日が終わりました。

 おかやま山陽高校の皆様、生徒の皆さん、今年もありがとうございました。おかげ様で楽しい一日でした。来年も行けるといいなあ。

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産婦人科医のための女性保健医療セミナー①

少々体調不良でブログを書くのをお休みしていました。もう大丈夫ですので、再開します。

 13日日曜日は「第24回産婦人科医のための女性保健医療セミナー」でした。ちょうど20年前、2005年に20人余りで第1回が開かれました。今は、当時を知るものは北村邦夫先生と、青森の蓮尾豊先生と私のみになりました。若いドクターたちが増え、今では全体の会員数も100人を超え、盛況です。

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当日のプログラムです。

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初めの、北村先生の2023年度衛生行政報告例(母体保護関係)について、最新の話題でした。

日本の人工中絶件数は、ずっと減少し続けていましたが、2023年は、なんと増加しています。

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人口そのもの、特に妊娠する若い年齢の人が減少しているので、総数だけではなんとも言えないのですが、人口千対の実施率を見ると、よくわかります。総数では4009の増加。中絶率は、全体では5.1から5.3へ増えています。


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これの原因をなんと捉えるか、うーん、難しい所ではありますが、今後の変化も見続けたいと思います。そのほか、経口避妊薬の売り上げ数と人工中絶数の年次推移、各都道府県別の比較なども詳しく提示して頂きました。

 次のディスカッション、若い世話人の先方のおかげで、楽しく過ごすことができました。特に、全国のドクターたちの「ホルモン製剤処方時の私の実践」について、あっと、学ぶことが多くありました。一人開業医では、つい自分のみの認識になりがちです。とても参考になりました。即、実際の診療に役立てています。みんなの和気あいあいのディスカッションの後、私は性別違和を訴える若年の女性の月経コントロールについて少し話しました。


 彼女たちの(まだGIDと正式に決定されたり治療をする前なので、彼女たちと言いますが)バストと月経は時に自殺を考えるほど深刻で、きちんと向き合わなければなりません。私は、ただ月経を苦痛に感じる人の、その治療だけに限っての話をしました。今のガイドラインでは、正式に病名が決定し、ホルモンの治療に入る前に乳房の手術をする場合のみ、保険でできるという、とてもおかしなことになっていますが、それは守らないわけにはいかないので。ホルモン治療をする前に、苦痛な月経を止める方法についていくつかの治験を得たので、その発表でした。

 その後は、福島大学教育学推進機構高等教育企画室の前川直哉先生のお話を聞きました。「男性性と暴力」について。とても興味深かったので、改めて次回少し詳しくお話しますね。

 明日は、木曜日は休診日。岡山の高校に講演に行きます。

 

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東京の息子宅です。

 東京、息子の家に来ています。この日に合わせて、ふるさと納税でフグを送ってもらっていました。ちゃんと来ていました。

お刺身。

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 切り身とあらとつみれでお鍋。

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唐揚げ。味がついていて、ただ揚げるだけ。

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鍋の残りで雑炊。

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 みんなでよく食べました。若い人との食事は、やっぱりいいです。孫ちゃんも初フグ、よく食べました。娘も来る予定だったのに、風邪か疲労か、熱が出ていて来られませんでした。せっかくのごちそうなのに、残念。早く治りますように。

明日は、全国の産婦人科医のための女性保健医療セミナーです。ちょっとだけお話するのに、スライドを手直ししました。いまだにエクセルが
よ良くわからない。ママに助けてもらいました。準備万端!!です。

カープ、単独首位ですよ!!信じられない。巨人相手だから、連勝が余計にうれしい。私が行かないほうがいいみたい。明日も頑張って!!

 

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野樹かずみさんのコラム「別れを告げない」

歌人の野樹かずみさんが、彼女の文章を送ってくださいました。

詩の本「みらいらん」(2025、冬)のコラムに書かれたと。私のブログに載せることを許してくださいましたので。

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元稿も送ってくださいましたので、読みやすく。


【 別れを告げない  野樹かずみ


「我々は正義派だ そうだ そうだ


生きるも一緒 死ぬのも一緒(略)」


七十年代韓国の民主化闘争のなかで歌われた歌。光州事件(一九八〇年)を描いたハン・ガンの小説『少年が来る』でも歌われる。その詩を「われらは正義派だ、いいのよ、いいの」と私は覚えていた。高校生のときに読んだT・K生『韓国からの通信』(続、第三、第四とつづく)には、そう書かれていたから。T・K生の本で、はじめて韓国の詩に出会い、金芝河や尹東柱の名も知ったのだった。
 高校三年、私はソウルの大学生と文通していた。二週間ごとに届いていた手紙が、光州事件のあと、届かなくて心配した。数か月後に来た手紙には「光州の事件は北朝鮮の陰謀です。ぼくたちは政治の話はやめましょう」とあり、韓国は軍政下にあるのだと、意識させられた。


ハン・ガンの『別れを告げない』は、一九四八年の済州島四・三事件に向き合う。国家が国民に対して行なった虐殺は、軍政下で隠ぺいされ続けた。生き延びた母親の、死者への思い、真実を求めた情熱を、娘たちが知ってゆく、痛みを繋ぐ物語。痛みは悼みに通じる。痛まなければ生命を失う。読み終えたとき、原民喜が被爆後に書いた小説のフレーズが耳に蘇った。「嘆きよ、嘆きよ、ぼくをつらぬけ……」(『鎮魂歌』)


 詩人の金時鐘さんが済州島四・三事件を逃れて渡日したことも思い出された。十数年前、朗読会で話してくださった。


 夏に読んだばかりの作家が、秋にノーベル文学賞受賞で、嬉しく驚いていたら、翌日、平和賞を日本被団協が受賞した。私も広島にいて、被爆体験を聞かせてもらった人たち(多くは故人)の姿が浮かぶから、こみあげるものがあった。文学賞も平和賞も、「別れを告げない」人たちに与えられたのだな、と思った。


夏嵐荒れすさぶ街に濡れて立ち「助けて」と叫ぶ死者の声聴く


切明千枝子『ひろしまを想う』


金時鐘さんの朗読会で、切明千枝子さんとお話したとき、切明さんも金時鐘さんも、私の死んだ母も、同じ昭和四年生まれと気づいて慕わしかった。


切明さんは被団協の「被爆を語り継ぐ会」で証言の活動をされている。あの日広島で、八千数百人の十代の生徒たちが、市内の建物疎開や工場作業に従事して被爆、六千人以上が命を奪われた。十五歳の女学生、切明さんも被爆し、やっと学校に帰り着き、救護活動をし、亡くなった同級生や下級生を校庭で焼いた。


この夏、被爆七十九年の八月に、切明千枝子歌集『ひろしまを想う』(編者・佐藤優、解説・福島泰樹)が出版された。切明さんは佐藤さんに「悲しい記憶は、私の武器ともいえる短歌にぶつけてきたの」と語った。短歌。記憶を耐えるための、別れを告げないための──


この手もて友の亡骸焼きし日よその桜色した骨を拾へり


『ひろしまを想う』


虚空に、永遠に在りつづけると思う。あの日の少年少女の桜色の骨たち。】


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昨年の「8.6ヒロシマ平和の夕べ」にできたばかりの切明さんの歌集をもって、佐藤優さんがお話に来て下さいました。どのページを開いても、胸が痛くなる歌集です。

 野樹かずみさん、ありがとうございました。

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竹田さんのお兄さんのお弁当箱

 広島市原爆資料館へは多くの方からの遺品が寄贈されています。それらを時々入れ替えをしています。この度、入れ替えをされた中に、私たちの平和の夕べの竹田さんのお兄さんの弁当箱が入っています。それを広島テレビのnewsでお知らせしていました。動画ではありませんが。

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私も、以前竹田さんと一緒にこのお弁当箱を見せてもらいに行きました。ここにも書いています。

http://miyoko-diary.cocolog-nifty.com/blog/2018/05/post-7d57.html

続きはここにも。広島二中の一年生全滅の記録「いしぶみ」の中にある雅郎さんが亡くなる時の様子も。「坪木君と同じ日(8月8日)に、竹田雅郎くんも同じように国家をうたい、そして日本万歳とさけんで亡くなりました。このことを、高田郡におられたお父さんが広島に出てきて聞かれたのは、戦争も終わった八月末でした。」

http://miyoko-diary.cocolog-nifty.com/blog/2018/05/post-0193.html

資料館に見せてもらいに行ったときの写真です。竹田さんと沖縄の知花昌一さんと亡くなってしまった平和の夕べのスタッフの中村さんと。

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わずか12歳の子が。本当にむごいことです。

 

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室積海岸とタンポポ蜜

 光市の森本先生のお宅を失礼して、室積海岸に行ってみました。私が高校一年生の時に臨海学校があった所。それは美しい海岸で、まるでワイキキ。向こうにダイアモンドヘッド見たいなのもあるし。行ってみたら、松林の向こうに、昔のままの美しく長い海岸がありました。

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真っ青な空、群青色の海。夕陽が美しいそうなので、しばらくいたかったのですが・・。

帰って、摘んでいただいてきたタンポポでタンポポ蜜を作りました。ずっと前にエイズダイアルの三浦さんがタンポポ蜜を作ったというのを読んで、気になっていました。ざるに入れて、振って小さな虫を落として。いないようでもいるものです。

サッと洗って鍋に。お水と皮をむいたレモンと蜜柑と一緒にしばらく煮て、蜜柑などを取り除いてタンポポは入ったまま一晩おきました。

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朝、タンポポを取り除いて砂糖を入れてコトコトと煮て。仕事から帰ってさらに煮詰めて、トロリとしたら、熱いままで容器に入れました。

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 きれいなのができました。少しレモンが多すぎたかも。でも、タンポポの香りもするし、すっきりしたいい蜜です。これからはちみつ替わりに食べます。

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